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2.3 静定梁

2.3.1 梁の特徴と断面力の定義

2.3.1.1 細長いトラス--曲げモーメントという抵抗力とは

図 2.28: 細長いトラス構造
\begin{figure}\begin{center}
\unitlength=.25mm
\begin{picture}(228,162)(134,-5)
...
... 74 (string)
\put(215,97){{\xpt\rm$x$}}
%
\end{picture}\end{center}
\end{figure}

いよいよ,章-[*]の最初に見た「桁」の力学を 考えよう。図-2.28に示したのは, クレーンのアーム構造のような 細長いトラス構造である。 全部で$K$個の四角パネル($p=1\sim K$)から成り, 先端に荷重$P$が作用している。 まず反力を求めると,$x$, $y$方向の力のつり合いと, 先端の$P$の載荷点でのモーメントのつり合いが

\begin{displaymath}
F_1+F_2=0, \quad S-P=0, \quad Kh S-h F_1=0
\end{displaymath}

となるので,$F_1=-F_2=KP$, $S=P$と求められる。 次に断面法を用いて第$k$パネルで切断し,上下弦材と斜材の軸力をそれぞれ$N_1$, $N_2$, $N_3$として,つり合いをとると

\begin{displaymath}
N_1+N_2+\dfrac{1}{\sqrt{2}} N_3=0, \quad
\dfrac{1}{\sqrt{2...
...0, \quad
-h N_1+\left(k-1\right) \dfrac{h}{\sqrt{2}} N_3=0
\end{displaymath}

となる。ここもモーメントのつり合いは,$P$の載荷点でとった。 したがって,各部材の軸力は

\begin{displaymath}
N_1=\left(k-1\right) P, \quad N_2=-k P, \quad N_3=\sqrt{2} P
\eqno{(N)}
\end{displaymath}

と求められる。 鉛直材は,端部の2本の軸力が零2.8で,それ以外はすべて$-P$である。

図 2.29: 壁における全反力
\begin{figure}\begin{center}
\unitlength=.25mm
\begin{picture}(293.736,69)(237.2...
...(string)
\put(248,45.4){{\xiipt\rm$y$}}
%
\end{picture}\end{center}
\end{figure}

では,図-2.28に示した細長いトラスを, そのそれぞれの弦材が見えないくらい遠くから眺めてみると, 実は細長い棒で$P$を支えているように見える。 こうすると,右端の支点反力を図-2.29の右図のように 捉えることができそうだ。 つまり,この場合は$x$方向には荷重を加えていないので,$x$方向の反力は 当然 $F_1+F_2=KP-KP=0$であるが,それ以外に$y$方向の反力$V_0$と, 図に描いたような反時計回りの反力モーメント と呼ばれる$M_0$が,この細長い棒を固定するための 反力として壁の側に発生すると考えるのである。 鉛直方向の「反力」$V_0$$V_0=P$,また「反力モーメント」$M_0$という概念は

\begin{displaymath}
M_0=\left(\mbox{$h$離れて作用する$F_1$と$F_2$が作る偶力}\rig...
...es (-KP)=(Kh)\times (-P)=-\left(\mbox{棒の長さ}\right)\times P
\end{displaymath}

になっている。

次に,この反力の考え方に合わせて, トラスの任意の位置$x$に断面法で切断を入れた場合に,3本 のトラス部材の個々の断面力ではなく,この位置$x$の断面力の 総和としての内力を新しく定義することにする。 これが図-2.30に示した二つの断面力,せん断力 $V$曲げモーメント $M$である。前者はそれほど難しくないと思うが, 後者は右端の「反力モーメント」に合わせたものである。 図の幾何学的な関係から

\begin{displaymath}
V\equiv -\dfrac{1}{\sqrt{2}} N_3,\quad
M\equiv \dfrac{h}{2} N_2-\dfrac{h}{2} N_1-b \dfrac{1}{\sqrt{2}} N_3
\end{displaymath}

と定義できる。ここで$x$が第$k$パネルの途中であれば

\begin{displaymath}
b=\left\{x-(k-1) h\right\}-\dfrac{h}{2}=
x-\dfrac{h}{2}\left(2k-1\right)
\end{displaymath}

なので,最終的にこの式と上式($N$)の$N_1$, $N_2$, $N_3$とを上式に代入すれば,せん断力と曲げモーメントは

\begin{displaymath}
V=-P, \quad M=-x P
\eqno{(a)}
\end{displaymath}

と求められる。

図 2.30: 細長い棒の断面力
\begin{figure}\begin{center}
\unitlength=.25mm
\begin{picture}(297,205)(142,-5)
...
...9.988)(389.264,27.483)
\outlinedshading
%
\end{picture}\end{center}
\end{figure}

つまり図-2.30の一番下にあるように, 細長い棒でできた構造が曲げられた場合には, 断面に発生する抵抗力(内力)は単純な軸力ではなく, この図のように「せん断力」と呼ばれる棒の軸に直交する方向の断面力と, 断面に生じている偶力2.9つまり「曲げモーメント」の二つであると 考えなければならないことになる。 ちなみに,この二つの断面力も, 切断した断面にはp.[*]に 示した「切断の約束」を満足するように,お互いに逆向きで同じ大きさの 断面力を作用させなければならない。 切断した断面の外向き法線ベクトルが$x$方向の面を正の面 と呼ぶが,慣習として,その面に作用する$\fat{y}$の負方向のせん断力を 正とし,反時計回りの曲げモーメントを正とする。 これに対して,切断した反対側の面,つまり断面の外向き法線ベクトルが$x$方向と 逆向きの面を負の面 と呼び,せん断力は$y$軸の正方向を正,曲げモーメントは時計回りを 正とする。章-[*]のスポンジの写真で, 桁の中に生じる偶力として曲げモーメントを紹介したが, この節での説明でその力学的定義が理解できれば, もう基本的な構造力学の8合目まで到達したも同然である。 ここが勉強の最初の踏ん張りどころである。

2.3.1.2 梁とせん断力・曲げモーメント

図 2.31: 片持ち梁のせん断

前節のように,細長い棒が横荷重 (棒の軸線に直交する方向への荷重)を受け, 曲がって支える構造部材を と呼ぶ。 そのとき,梁の断面にはせん断力 曲げモーメント という内力が生じて抵抗するのである。図-2.31のように 片端が剛な壁に固定さ(埋め込ま)れ,片端が自由に 移動できる梁を片持ち梁 と呼んでいる。断面は,節-[*]で例に用いたスポンジの ように長方形断面であったり,鈑桁やレールのようなI形断面等である。

図 2.32: 片持ち梁のせん断

断面力を求めるには,トラスと同様,断面を仮想的に切断する必要がある。 しかしトラスとは異なり,1部材中であっても断面力は場所によって異なるため, 場所の関数となり一定ではない。したがって,断面法を用いるのが適切であろう。 そこで左端から$x$の位置に切断面を入れ,図-2.31の右図のように 断面力を正しい向きで設定し,この切断面より左側でのつり合いをとると

\begin{displaymath}
-P-V=0, \qquad M+x P=0
\end{displaymath}

となる。モーメントは切断面の回りでとった。したがって,断面力は

\begin{displaymath}
V=-P, \qquad M=-x P
\eqno{(b)}
\end{displaymath}

となり,上式($a$)と一致する。 求められたこの断面力の結果を図-2.32に 示した。それぞれをせん断力図 および曲げモーメント図 と呼び,前者は上向きを正に,後者は下向きを正にとる2.10ことが多い。 なおこれ以降,梁を1本の線で描き,断面の形を具体的には示さない場合が多い。 しかし,ある厚さと幅を持った断面の棒であることを,常に忘れないで欲しい。

2.3.2 代表的な例

2.3.2.1 荷重と境界条件

梁の場合はトラスと違って, 支間のどの位置にも集中荷重は作用できるものと考える。 また床版に載った図-2.19のような活荷重も, そのまま梁に直接載る分布荷重と考えていいことになっている。 次に支持条件については,前節で取り扱った片持ち梁のように, 壁に埋め込まれたようなものと,単純に支えているだけのものがある。 支持記号と, それぞれの場合の発生可能な支点反力を図-2.33に示した。 三角形の支持は,トラスの場合と同様,三角記号だけの場合は水平方向にも 固定されていることから,荷重によっては水平反力$H$が生じる。 三角記号の下に線分がある場合は,水平方向は自由に移動可能であり, 水平反力は生じない。なお反力と外力は,水平方向は$x$軸の正方向を正の 力$H$とするが,鉛直方向は重力場での自重のことを念頭に置き, 慣習として$y$軸の負の方向を正の 2.11$S$とする。 また外力(反力)モーメント$C$については反時計回りを正とする。 埋め込み端で反力モーメントが生じるのは,前節での細長いトラスの議論を 思い出せば理解できるであろう。

図 2.33: 梁の代表的な支持条件と正の外力・反力の向き           右は 橋脚天端に載っている支承


\includegraphics[height=35mm, clip]{shoe.ps}

図-2.33の右に示した写真は, 水平方向の移動も固定した単純支持装置で,ピン支承 と呼ばれている。これは写真の左に模式的に描いたように,ピンを中心にして 桁が回転できるようになっているため,反力モーメントは生じない。 ただし,この写真の支承はゲルバー梁(牛越橋)の 中間支点なので図-2.46に示すように, 内力の曲げモーメントが零にはならないことには注意する。

2.3.2.2 片持ち梁

図 2.34: 等分布荷重を受ける片持ち梁
\begin{figure}\begin{center}
\unitlength=.25mm
\begin{picture}(170.736,157)(152,...
...ring)
\put(272,89.4){{\xiipt\rm$\ell$}}
%
\end{picture}\end{center}
\end{figure}

等分布荷重$q$を受ける片持ち梁を解いてみよう。 ここでは,トラスの断面法の手順と同じように解くことにする。$y$軸 下向きの等分布荷重しか作用していないので,まず支点反力は, 鉛直上向きの反力$F$と反時計周りの反力モーメント$C$だけである。 外力と反力のつり合いは

\begin{displaymath}
F-\int_0^\ell q\dint x=F-\ell q=0, \quad C-\int_0^\ell x q\dint x=0
\end{displaymath}

であるが,モーメントのつり合いは,等分布荷重をその分布の重心, つまりスパン中央( $x=\frac{\ell}{2}$)に総力$(q \ell)$を作用させても 同じだから $C-\dfrac{\ell}{2} (q \ell)=0$と考えてもよく,結局

\begin{displaymath}
F=q \ell, \qquad C=\dfrac{q \ell^2}{2}
\eqno{(c)}
\end{displaymath}

と求められる。もちろん積分を実行しても同じである。

図 2.35: 断面力図

次に,埋め込み端から$x$の位置で断面を切断し,そこに正しい向きの 断面力を発生させた上で,梁の左側の部分のつり合いを考える。モーメントは 切断面回りで考えると

\begin{displaymath}
F-\int_0^x q\dint \xi-V=0, \quad C+M+\int_0^x (x-\xi) q\dint\xi-x F=0
\end{displaymath}

になる。$\xi $$x$方向の積分をするためのダミーの座標である。 積分してもいいが,反力を求めたときと同様に,分布荷重を総力が 重心に作用した集中荷重で置き換えれば

\begin{displaymath}
F-(q x)-V=0, \quad C+M+\dfrac{x}{2} (q x)-x F=0
\end{displaymath}

としてもいい(図を見ながら自分で考えて欲しい)から, 上式($c$)を代入して解くと

\begin{displaymath}
V(x)=q (\ell-x), \qquad
M(x)=-\dfrac{q \ell^2}{2}+x \ell...
...rac{q x^2}{2}
=-\dfrac{q}{2}\left(\ell-x\right)^2
\eqno{(d)}
\end{displaymath}

と,せん断力と曲げモーメントの分布が求められる。 埋め込み端を前節の設定と変えたため, せん断力の符号が変わっていることに注意する。 ところで,前節の式($b$)の場合もそうであったが, 上式($d$)の場合も

\begin{displaymath}
V(x)=\D*{M(x)}{x} \qquad
(\mbox{せん断力})=(\mbox{曲げモーメントの変化率})
\end{displaymath} (2.9)

が成立することは覚えておいて欲しい。 つまり,曲げモーメント図がわかったときには,その傾きがせん断力図になる。

2.3.2.3 単純梁

図 2.36: 集中荷重を受ける単純梁
\begin{figure}\begin{center}
\unitlength=.25mm
\begin{picture}(460,97)(104,-5)...
...(string)
\put(468,57.4){{\xiipt\rm$V$}}
%
\end{picture}\end{center}
\end{figure}

2.3.2.3.1 集中荷重を受ける場合:

次には,両端が単純に支持されている単純梁 に集中荷重が作用した図-2.36の場合を対象としてみる。 まず支点反力を求めるために,反力と外力のつり合いをとると

\begin{displaymath}
F_1+F_2-P=0, \quad \ell F_2-\dfrac{\ell}{3} P=0, \quad \to \quad
F_1=\dfrac{2P}{3}, \quad F_2=\dfrac{P}{3}
\end{displaymath}

と求められる。モーメントは左端の回りでとってある。

図 2.37: 断面力図
\begin{figure}\begin{center}\begin{center}
\unitlength=.01mm
\begin{picture}(7...
...
\path(6640,1230)(6640,1230)
\end{picture}\end{center}\end{center}
\end{figure}

次に,集中荷重の載荷点よりも左側( $x<\frac{\ell}{3}$)の ある断面を切断し,切断面よりも左の部分でつり合いをとると

\begin{displaymath}
\dfrac{2P}{3}-V=0, \quad
M-x \dfrac{2P}{3}=0
\end{displaymath}

となることから,せん断力と曲げモーメントは

\begin{displaymath}
V=\dfrac{2P}{3}, \quad M=\dfrac{2P x}{3},
\quad 0<x<\dfrac{\ell}{3}
\eqno{(e)}
\end{displaymath}

と求められる。これに対し,載荷点よりも右側で切断した場合には, 切断面よりも左の部分でつり合いをとると

\begin{displaymath}
\dfrac{2P}{3}-P-V=0, \quad
M-x \dfrac{2P}{3}+\left(x-\dfrac{\ell}{3}\right) P=0
\end{displaymath}

となり,これを解けばいいが,それよりも図-2.36の右端の ように,切断面よりも右の部分でつり合いをとると

\begin{displaymath}
\dfrac{P}{3}+V=0, \quad
-M+\left(\ell-x\right) \dfrac{P}{3}=0
\end{displaymath}

であることから,断面力は

\begin{displaymath}
V=-\dfrac{P}{3}, \quad M=\dfrac{P}{3} \left(\ell-x\right),
\quad \dfrac{\ell}{3}<x<\ell
\eqno{(f)}
\end{displaymath}

と求められる。図-2.37に結果を示した。 単純支持端は回転自由なために,曲げモーメントは零になっている。 またせん断力図の載荷点では,載荷荷重量の$P$の大きさ分の不連続ができる。

図 2.38: 線形分布荷重
図 2.39: 断面力図
\begin{figure}\begin{center}
\unitlength=.25mm
\begin{picture}(263,106)(100,-5)
...
...1,Legend(Title)
%,-1,Graphics End
%E,0,
%
\end{picture}\end{center}
\end{figure}

2.3.2.3.2 非一様な分布荷重の場合:

線形に分布した 荷重が図-2.38のように載っている場合を考えてみよう。 この場合の分布荷重は $q(x)=q \dfrac{x}{\ell}$で与えられている。 まず反力を求めるために全体のつり合いを考えると

\begin{displaymath}
F_1+F_2+\int_0^\ell q(x)\dint x=0, \quad
\ell F_2-\int_0^\ell x q(x)\dint x=0
\end{displaymath}

となる。分布荷重は,三角形の重心位置である $x=\frac{2\ell}{3}$に 総力 $\left(\frac{q \ell}{2}\right)$が作用しているように考えてもいい。 上式を算定して反力を求めると

\begin{displaymath}
F_1=\dfrac{q \ell}{6},\quad F_2=\dfrac{q \ell}{3}
\end{displaymath}

となる。

次に左から$x$の位置の断面を切断して,断面力を求める。まず,つり合いから

\begin{displaymath}
\dfrac{q \ell}{6}-V-\int_0^x q(\xi)\dint\xi=0, \quad
M-x \dfrac{q \ell}{6}+\int_0^x \left(x-\xi\right) q(\xi)\dint\xi=0
\end{displaymath}

となる。したがって,断面力は

\begin{displaymath}
V(x)=\dfrac{q}{6\ell}\left(\ell^2-3 x^2\right), \quad
M(x)=\dfrac{q x}{6\ell}\left(\ell^2-x^2\right)
\end{displaymath}

と求められる。結果を図-2.39に示した。

図 2.40: 斜め外力を受ける単純梁
\begin{figure}\begin{center}
\unitlength=.25mm
\begin{picture}(243,234)(136,-5)
...
...string)
\put(268,6.4){{\xiipt\rm$\xi$}}
%
\end{picture}\end{center}
\end{figure}

2.3.2.3.3 軸力も同時に発生するような場合:

最後に, 軸力も生じて抵抗する梁の場合を考えてみよう。 一般に,トラスの弦材のように圧縮・引張りで抵抗する部材を と呼び, 曲げとせん断で抵抗する部材を と称するが,この両方を組み合わせた構造を骨組 2.12と呼ぶ。骨組の場合は,部材同士はピンではなく剛結(溶接したような状態に) されている。例として図-2.40を解くが, スパン中央とそこから斜めに立ち上がっている梁の下端も剛結されているとする。

この構造に図示したような斜めの外力を載せた場合を対象に,これまでにやった 切断法がそのまま使えることを示しておこう。 まず図-2.40のように反力を記してつり合いをとると

\begin{eqnarray*}
&&F_1+F_2-P \sin 30^\circ=0, \quad
H+P \sin 30^\circ=0 \\
...
...{\ell}{2}+\dfrac{\ell}{3}\cos 30^\circ \right)
P\sin 30^\circ=0
\end{eqnarray*}

となる。モーメントは左端回りでとった。これより

\begin{displaymath}
F_1=\dfrac{3-2\sqrt{3}}{12} P, \quad
F_2=\dfrac{3+2\sqrt{3}}{12} P, \quad
H=-\dfrac{\sqrt{3}}{2} P
\end{displaymath}

のように求められる。単純梁部分の左側は,図示していないが, 左から$x$の位置に切断を入れて, せん断力と曲げモーメントに加えて,軸方向の軸力$N$$x$方向に 作用させてつり合いをとることによって

\begin{displaymath}
N(x)=\dfrac{\sqrt{3}}{2} P, \quad
V(x)=\dfrac{3-2\sqrt{3}}{12} P, \quad
M(x)=\dfrac{3-2\sqrt{3}}{12} P x
\end{displaymath}

となる。同様に,右側は右端から$(\ell-x)$の位置に切断を入れ

\begin{displaymath}
N(x)=0, \quad
V(x)=-\dfrac{3+2\sqrt{3}}{12} P, \quad
M(x)=\dfrac{3+2\sqrt{3}}{12} P (\ell-x)
\end{displaymath}

と求められる。 最後に中央から右上に張り出した梁部分は,図-2.40の 下の図のように梁の軸線方向と直角方向に外力$P$を分解した上で, 先端から左向きに$\xi $軸を取り,断面を切断してつり合いを考えれば

\begin{displaymath}
N(x)=\dfrac{1}{2} P, \quad
V(x)=\dfrac{\sqrt{3}}{2} P, \quad
M(x)=-\dfrac{\sqrt{3}}{2} P \xi
\end{displaymath}

となる。図-2.40に破線を付けた側が 正の曲げモーメント図(負のせん断力図)側になるようにしているのに 注意して欲しい。 この結果を図示したのが図-2.41であるが, せん断力図と曲げモーメント図に加えて軸力図 も示してある。

図 2.41: 軸力図・せん断力図・曲げモーメント図
\begin{figure}\begin{center}
\unitlength=.25mm
\begin{picture}(624,110)(16,-5)...
...ootnotesize$\dfrac{3-2\sqrt{3}}{12}P$}}
%
\end{picture}\end{center}
\end{figure}

図 2.42: 骨組みの例
\begin{figure}\begin{center}
\unitlength=.25mm
\begin{picture}(544,182)(60,-5)...
...(string)
\put(488,70.4){{\xiipt\rm$h$}}
%
\end{picture}\end{center}
\end{figure}

もう一つ,もっと骨組らしいものを対象としてみよう。 例として図-2.42の左の構造を解こう。 これは高架の高速道路の柱に,アクセスランプ のための梁を張り出したものを, ちょっと乱暴だが静定系でモデル化したものである。 反力を求めるために全体のつり合いをとると

\begin{displaymath}
H=0, \quad F_1+F_2-P-q \ell=0, \quad
b P+\ell F_2-\dfrac{\ell}{2} q \ell=0
\end{displaymath}

であるから,反力は

\begin{displaymath}
H=0,\quad
F_1=\dfrac{q \ell}{2}+\dfrac{(\ell+b) P}{\ell}, \quad
F_2=\dfrac{q \ell}{2}-\dfrac{b P}{\ell}
\end{displaymath}

と求められる。

$s$軸は左の柱の基部から右の柱の基部までの軸線に沿った座標とする。 したがって,$0<s<\ell$が左の柱,$\ell<s<2\ell$が上の梁,$2\ell<s<3\ell$が 右の柱部に相当する。また張り出し梁は載荷点から右向きに$x$軸をとった。 というのも,それよりも左には断面力は何も生じないからである。 張り出し部は片持ち梁と同じなので,簡単に

\begin{displaymath}
N(x)=0, \quad V(x)=-P, \quad M(x)=-P x, \quad 0<x<b
\end{displaymath}

となる。次に左の柱の張り出し部までは,やはり断面を切断してつり合いをとると

\begin{displaymath}
N(s)=-\dfrac{q \ell}{2}-\dfrac{(\ell+b) P}{\ell}, \quad
V(s)=0, \quad M(s)=0, \quad 0<s<h
\end{displaymath}

と求められる。その上になると,張り出し部の荷重を考慮すればいいだけなので

\begin{displaymath}
N(s)=-\dfrac{q \ell}{2}-\dfrac{b P}{\ell}, \quad
V(s)=0, \quad M(s)=-b P, \quad h<s<\ell
\end{displaymath}

である。次に梁の部分についても同様の切断をすれば,つり合いから

\begin{displaymath}
N(s)=0, \quad
V(s)=\dfrac{q \ell}{2}+\dfrac{b P}{\ell}-q\...
...right)
 (s-\ell)-\dfrac12 q (s-\ell)^2, \quad \ell<s<2\ell
\end{displaymath}

と求めることができる。右の柱は基部から考えた方が簡単で,最終的に

\begin{displaymath}
N(s)=-\dfrac{q \ell}{2}+\dfrac{b P}{\ell},\quad
V(s)=0, \quad M(s)=0, \quad 2\ell<s<3\ell
\end{displaymath}

となる。断面力図は省略する。

2.3.2.4 ゲルバー梁

図 2.43: ゲルバー形式の梁(牛越橋のような5径間の場合)

図 2.44: 掛け違い部--右の桁が左の桁に乗っている
\includegraphics[width=75mm, clip]{kakechi.ps}

実際の橋梁を見ると,単径間ではなく,複数の橋脚の上を渡しているように 見える。もし複数の径間を連続して渡した梁にすると,実は不静定構造になり, ここまでの知識では断面力を求めることはできない。 しかし節-[*]で 例として挙げた牛越橋は5径間の橋で,橋脚の上を見ると連続しているように 見えるが,もっとよく観察するとゲルバー形式 の橋梁であることがわかる。 それを簡単な図にしたのが図-2.43である。 左右から二つ目のスパンにある小さい桁は, 右の写真-2.44のようにして 隣の桁に支えられているのである。 この写真はちょうど図-2.43の点Aの位置を示している。 写真に写っている奥の主桁を見ればわかるように,楕円で囲んだ部分に相当する 部分に隙間が空いている。つまりここで二つの梁は縁を切ってある2.13のである。 この写真の場合は,左の桁が右の桁をこの楕円の部分で支えている。 設計の場合は,この図-2.43の下の図のように, ヒンジでモデル化することが多いが, 実際にはこの写真のようにして支えられている。

図 2.45: ゲルバー梁の例
\begin{figure}\begin{center}
\unitlength=.25mm
\begin{picture}(392,213)(116,-5)
...
...(string)
\put(360,13.4){{\xiipt\rm$x$}}
%
\end{picture}\end{center}
\end{figure}

では図-2.45の3径間のゲルバー梁を解いてみよう。 まず,中央部で支えられた単純梁区間(楕円で囲んだ部分)は,上方の図のような 等分布荷重を受ける単純梁なので,演習問題2-3の問題4の 解答(自分でまず解いてください)で答は求められている。 左右のスパンを解くために 必要なのは両端の反力$F_1$, $F_2$であるが, これも簡単に $F_1=F_2=0.3 q\ell$と求められると思う。 中央スパンは,左端から$x$軸を定義すると,断面力が

\begin{displaymath}
V(x)=0.3 q\ell-q x, \quad
M(x)=0.3 q\ell x-\dfrac12 q x^2
\end{displaymath}

となる。これが求められたあとは, 左右の張り出しスパンまでの区間をそれぞれ,左下および 右下の図のような別々な系として解けばいいだけである。

まず左下の系の支点反力は,力のつり合いとモーメントのつり合い条件から

\begin{displaymath}
F_3=0.365 q\ell-\dfrac{C_0}{\ell}, \quad
F_4=1.235 q\ell+\dfrac{C_0}{\ell}
\end{displaymath}

となる。そこで,左端から$x$軸を定義して左から順に解いてみると, まず$0<x<0.5\ell$の間は

\begin{displaymath}
V(x)=\left(0.365 q\ell-\dfrac{C_0}{\ell}\right)-q x, \quad...
...left(0.365 q\ell-\dfrac{C_0}{\ell}\right) x-\dfrac12 q x^2
\end{displaymath}

と求められる。さらに $0.5\ell<x<\ell$までの間は

\begin{displaymath}
V(x)=\left(0.365 q\ell-\dfrac{C_0}{\ell}\right)-q x, \quad...
...left(0.365 q\ell-\dfrac{C_0}{\ell}\right) x-\dfrac12 q x^2
\end{displaymath}

である。最後に張り出し部の $\ell<x<1.3\ell$の区間は

\begin{displaymath}
V(x)=0.3 q\ell+\left(1.3 \ell-x\right) q, \quad
M(x)=-\le...
...-x\right) 0.3 q\ell
-\dfrac12 \left(1.3 \ell-x\right)^2 q
\end{displaymath}

と求められる。

次に右の部分は,まず反力が

\begin{displaymath}
F_5=\dfrac12 P+0.39 q\ell,\quad
F_6=\dfrac12 P-0.09 q\ell
\end{displaymath}

と求められる。左端から$x$軸を取り,順に左から解くと,$0<x<0.3\ell$では

\begin{displaymath}
V(x)=-0.3 q\ell, \quad
M(x)=-0.3 q\ell x
\end{displaymath}

となる。次に $0.3\ell<x<0.8\ell$では

\begin{displaymath}
V(x)=\dfrac12 P+0.09 q\ell, \quad
M(x)=-0.15 P\ell-0.117 q\ell^2+\left(\dfrac12 P+0.09 q\ell\right) x
\end{displaymath}

であり, $0.8\ell<x<1.3\ell$の区間では

\begin{displaymath}
V(x)=-\dfrac12 P+0.09 q\ell, \quad
M(x)=\left(1.3\ell-x\right) \left(\dfrac12 P-0.09 q\ell\right)
\end{displaymath}

と求められる。各自計算してみて欲しい。

図 2.46: ゲルバー梁の断面力図
\begin{figure}\begin{center}\begin{center}
\unitlength=.01mm
\begin{picture}(7...
...th(6640,1230)(6640,1230)
\end{picture}\end{center}\par
\end{center}
\end{figure}

図-2.46に 分布図を示したが,それぞれの値は

\begin{eqnarray*}
&& V_1=-\dfrac{C_0}{\ell}+0.365 q\ell, \\
&& V_2=-\dfrac{C_0...
...q\ell^2, \\
&&\mbox{}\qquad M_5=\dfrac{P\ell}{4}-0.045 q\ell^2
\end{eqnarray*}

である。ヒンジの部分で曲げモーメントが零になっていることに注意する。 数値的に近似解を求める手法を章-5で説明するが, その方法を用いてまっすぐな梁を解くための, 著者らが作成したプログラムも電子的に 入手可能になっている。図-2.46のような図の値も, パーソナルコンピュータ 上で設定して求めることができる。スパン途中にヒンジやバネ支持も挿入できるが, 入手方法についてはまえがきを参照のこと。

また,つり合い式を解く練習をするためには,是非文献[106]等で 多くの問題を解いて欲しい。

図 2.47: 連結点での連続性
\begin{figure}\begin{center}
\unitlength=.25mm
\begin{picture}(144,69)(232,-5)...
...(string)
\put(300,37.4){{\xiipt\rm$V$}}
%
\end{picture}\end{center}
\end{figure}

  1. 線形分布の荷重 $q(x)=q \dfrac{\ell-x}{\ell}$が作用した, 左端固定の片持ち梁の断面力図を求めよ。
  2. 等分布荷重 $q=\mbox{const.}$が作用した単純梁の断面力図を求めよ。
  3. 右図-2.47は図-2.41の 連結点の断面力を示したものである。 ここでの断面力同士のつり合いを確認せよ。
  4. 図-2.42の左図の解析結果を確認せよ。
  5. 図-2.42の右図は,やはり高架橋の脚のモデルである。 断面力分布を求めよ。

2.3.3 梁の中の応力分布

トラスの節-2.2.3 (4)で, 設計に必要な物理量は断面の強度,つまり応力 だと述べた。この細長いトラスの第$k$パネルの左端に 近い部分を抜き出したのが図-2.48で ある。p.[*]の式($N$)で求めたように, まず上弦材は$(k-1)P$の引張りの軸力が生じているが,例えばI形をした 断面には,この図に描いたように,一様に分布する単位面積当たりの 応力(抵抗力;内力)が生じている。 また斜材も一様な応力で引張られ,下弦材は圧縮なので,例えば箱形を した断面に,この図のように,やはり一様な圧縮応力が生じている。 したがって,節-2.2.3 (4)で 考えたように,その一様な応力(抵抗力)が強度を超えないように設計すれば, 強くて安全な構造が設計できることになる。

図 2.48: トラスの上下端の内力

梁の断面の設計の場合も同様なはずなので, まず梁の断面に生じている応力分布を知る必要があるが, トラスほど簡単ではなさそうだ。そこで再度,細長いトラスの例を 用いてみる。図-2.48のように, 上弦材には合計で$(k-1)P$の引張りの軸力が生じている一方で, 下弦材にはやはり一様な応力で$kP$の圧縮軸力($-kP$の引張り軸力)が, そして斜材の$x$方向には$P$の引張り軸力が生じている。 したがって,下弦材に近い下方部分では,下弦材と斜材の軸力の 合計で$(k-1)P$の圧縮軸力($-(k-1)P$の引張り軸力)が生じていると 考えていいだろう。つまり, 遠くから眺めたときのトラスの切断面全体を梁の断面として捉えたときに, 梁の上端と下端には同じ大きさの内力が逆向きに(圧縮と引張りの逆符号で) 生じていると考えるのは,素直ではないだろうか。

図 2.49: 梁の中の応力分布
\begin{figure}\begin{center}
\unitlength=.25mm
\begin{picture}(213,138)(216,-5)
...
...ct  ...

このことから,梁の中には軸線($x$軸)を境に逆向きの内力が生じることによって, 曲げモーメントという抵抗力を発生させているものと予想できる。 それを図示したのが図-2.49である。 果たして直線的に分布するかどうかは,今の段階では理解できなくていい。 その詳細については章-4で説明する。 ここでは,第1次近似として直線的に応力は分布して生じると 考えておいて欲しい。 このような応力分布の合計が,断面全体の抵抗力としての曲げモーメントに なっているのなら

\begin{displaymath}
M(x)=\int_{\mbox{{\scriptsize 断面の下端}}}^{\mbox{{\scripts...
...(x,y)\dint A, \quad
\sigma(x,y)=-\dfrac{2 \sigma_0(x) y}{h}
\end{displaymath}

という関係にあることは容易に理解できると思う。$A$は断面積である。 反時計回りのモーメントを正としているので,上述のトラスの場合とは 圧縮・引張りが逆になっており,さらに$\sigma$の作用線までの 距離を$(-y)$としている。 図のように断面が高さ$h$で幅$b$の長方形だとすると $\dint A=b\dint y$に なるので,積分すると

\begin{displaymath}
M(x)=\int_{-\slfrac{h}{2}}^{\slfrac{h}{2}} -y \sigma(x,y) ...
...}}^{\slfrac{h}{2}} y^2\dint y
= \dfrac{b h^2}{6} \sigma_0(x)
\end{displaymath}

となる。したがって, 断面の上下縁に発生する最大応力$\sigma_0$と生じている曲げモーメント$M$

\begin{displaymath}
M(x)=W \sigma_0(x), \quad
W \equiv \dfrac{2}{h}\int_{-\slfr...
...,y^2\dint y =
\dfrac{b h^2}{6} \qquad \mbox{(2軸対称断面)}
\end{displaymath} (2.10)

という関係になる。この$W$断面係数 と呼ばれるもので,断面の形と寸法だけで決まる量である。 すなわち,トラスのように断面内の応力分布が一様な場合には 断面の幾何学的な抵抗係数は 断面積$A$ ($N=A \sigma_0$)であるが, それに対応して,梁の曲げの場合の幾何学的な抵抗係数は 断面係数$W$ ($M=W \sigma_0$)になるのである。 なお,ここでは$y$, $z$の2軸に対して対称な断面形状の場合に限定した 断面係数の定義を示していることに注意して欲しい。 任意の断面形の場合は章-4で説明する理屈を参照して欲しい。


2.3.4 影響線と断面設計

2.3.4.1 影響線

図 2.50: 変断面のプレートガーダの設計

トラスと同じように,梁の設計に当たっても, 設計しようとする断面の影響線を事前に求めておかなければならない。 例として図-2.50の単純プレートガーダを考えてみよう。 この左の図の一番上にあるのはそのプレートガーダの左半分の 模式図であるが, 合理的な断面にするために,スパン中央区間とその外側区間を異なる断面で 設計し,図の断面Aで接合することにした。 具体的なスパンの様子はその下に示したが,断面AとA'が接合箇所で, 中央区間とその外側で断面のフランジ寸法等が 異なるように設計しようとしている。

ここでは支点に近い方の桁(B-A区間)の 断面を設計することを想定して, まず断面Aに着目して設計してみよう。 左端から$x$の位置に単位集中荷重(単位は無い)を載せた場合の断面Aの 曲げモーメントとせん断力は,この断面Aの,それぞれ曲げモーメントと せん断力の影響線 と呼ばれる。 曲げモーメント図等を求めるときと同様,反力を求めて断面法でA点の 曲げモーメントとせん断力を求めれば影響線が求められる。 その結果,単位をmとした場合に, 曲げモーメントの影響線 $\overline{M}_A$(単位はm)と,せん断力の 影響線 $\overline{V}_A$(単位は無い)は

\begin{displaymath}
\overline{M}_A=\left\{
\begin{array}{ll}
\dfrac{5 x}{7}, ...
... \mbox{10 m}<x<\mbox{35 m}
\end{array}\right.
\eqno{(g, h)}
\end{displaymath}

と求められる。図-2.50の 左下に $\overline{M}_A$ $\overline{V}_A$を描いておいた。 ところで,図-2.37のせん断力図や 曲げモーメント図との違いには 十分注意すること。影響線の横軸は単位荷重の載荷位置である。 さて,トラスの場合と同様にしてこの影響線を用いれば, 断面Aあるいは設計しようとしている左右の区間が 最も不利に(辛く)なるような載荷位置を決定できる。 そのときに着目断面に生じている最大の断面力で安全に設計すればいい。


2.3.4.2 最大せん断力と最大曲げモーメント

ここではまず,曲げモーメント抵抗に対して左右の区間を設計してみよう。 トラスと同様,分布外力$q_1$$q_2$の値の求め方に ついては節-A.2に示した。 単純梁の場合,荷重がどこに載ろうと支点では常に曲げモーメントは 零であることから,左右区間の場合は,できるだけ支点から遠い断面で 曲げ抵抗の安全を確保すべきであることは予想できると思う。 したがって断面Aを設計すればいいので, そこの曲げモーメントの影響線 $\overline{M}_A$を用いて, まず載荷位置を決めよう。図-2.50の左に示したように, 式($g$)は三角形分布の $\overline{M}_A$になるので, 図の右上に示したように,左端から離れたある$x=a$の 位置から$D=10$mの区間に 大き目の荷重$q_1$を載せたときが,断面Aにとっては最も不利になる。 したがって網掛けした部分の影響線の面積$A_g$(単位はm$^2$)を求めて, それが最大になるような位置$a$を求めればいいから

\begin{displaymath}
A_g=\dfrac{250}{2}-\dfrac{5}{14} a^2-\dfrac17 \left(25-a\right)^2,
\qquad
\D*{A_g}{a}=0 \quad \to \quad a=\dfrac{50}{7}
\end{displaymath}

となるので,左から7.1mの位置から10mの区間に$q_1$を載荷し, 残りの部分全体に$q_2$を載せたときに,断面Aは最も辛い状況になることがわかる。 このとき網掛けした影響線面積は $\frac{3000}{49}$mであり,網掛けしていない 部分の影響線面積が $\frac{3125}{49}$mと算定できる。したがって 断面Aの最大曲げモーメント

\begin{displaymath}
M\subsc{max}=q_1 \dfrac{3000}{49}+q_2 \dfrac{3125}{49}
\qquad\mbox{(単位はNm)}
\eqno{(i)}
\end{displaymath}

と求められる。

次にせん断抵抗に対する設計を想定しよう。断面Aのせん断力の 影響線 $\overline{V}_A$は図-2.50に示した通りであるが, 実はせん断力は, 断面Aよりも支点上の断面Bの方が厳しい状況になっていることに 注意しなければならない。 同じ図-2.50の左下に断面Bのせん断力の 影響線 $\overline{V}_B$を描いた。 この面積の方が,その上の断面Aのせん断力の影響線(正負の 二つの)面積よりも大きい。 したがって,左右区間のせん断抵抗について設計する場合には, 断面Bの影響線を用いなければならない。図の右下に示したように, この場合は左に寄せて大きめの荷重を載せればいい。 曲げ抵抗の場合と同様の影響線面積(単位はm)の算定をすると,結局, 断面Bの最大せん断力

\begin{displaymath}
V\subsc{max}=q_1 \dfrac{60}{7}+q_2 \dfrac{125}{14}
\qquad\mbox{(単位はN)}
\eqno{(j)}
\end{displaymath}

と求められる。

  1. 式($j$)を求めてみよ。
  2. 同じプレートガーダの中央スパンの中央断面Cの, 曲げモーメントとせん断力の影響線を求めよ。
  3. それを用いて載荷位置を決定し,中央区間を設計する際の 最大曲げモーメントと最大せん断力を求めよ。


2.3.4.3 断面の強度と設計

2.3.4.3.1 曲げ強度の確保:

トラスのときと同様,曲げを受ける場合の引張り強度と圧縮強度 をそれぞれ $\sigma_a^{(bt)}$, $\sigma_a^{(bc)}$とすると, 引張り側と圧縮側の曲げ強度は式(2.10)から それぞれ $W \sigma_a^{(bt)}$, $W \sigma_a^{(bc)}$であるので, 安全が確保されるためには上式($i$)の最大曲げモーメントに対して

\begin{displaymath}
W \sigma_a^{(bt)}\ge \left\vert M\subsc{max}\right\vert,\quad
W \sigma_a^{(bc)}\ge \left\vert M\subsc{max}\right\vert
\end{displaymath}

を満足しなければならない。これから断面は

\begin{displaymath}
W\ge\dfrac{\left\vert M\subsc{max}\right\vert}{\sigma_a^{(b...
...x}\right\vert}{\sigma_a^{(bc)}}
\qquad \mbox{(2軸対称断面)}
\end{displaymath} (2.11)

を満足するように設計されなければならないことになる。 トラスの場合と同様材料強度が圧縮と引張りで異なるのは奇妙に感じられるかも しれないが,曲げを受ける場合も材料によっては, あるいは章-7で説明する座屈現象のために, 圧縮と引張りとでは強度が異なる(節-7.7.3の 式(7.92) (7.95)参照)ことが あるので,このような2重の確認が必要になるのである。

2.3.4.3.2 せん断強度の確保:

また同時に,最大せん断力を支えられるように, せん断強度に対して断面は設計されていなければならない。 まず応力で与えられる許容せん断応力(せん断強度 )は,後述の式(3.77)を根拠にして

\begin{displaymath}
\tau_a=\dfrac{\sigma_a^{(t)}}{\sqrt{3}}
\end{displaymath}

で与えられている。あとはせん断力とせん断応力の関係,つまり, 断面の抵抗係数を知る必要があるが,これは少々難しい。 詳細は節-4.6.1で説明するが, せん断力の場合は軸力と同様,何らかの断面積が近似的な抵抗係数になっていると 考えることが多い。その断面積を$A_s$とすると,トラスの設計と同様, せん断に対して安全を確保するためには, 式($j$)の最大せん断力に対して

\begin{displaymath}
\tau_a A_s\geq
\left\vert V\subsc{max}\right\vert \quad \t...
...uad
A_s\geq \frac{\left\vert V\subsc{max}\right\vert}{\tau_a}
\end{displaymath} (2.12)

になるように断面積$A_s$を決定すれば,安全な設計ができたことになる。 例えばI形断面のような場合はウェブの部分だけの面積を$A_s$に用いている。

図 2.51: I形断面の断面係数
\begin{figure}\begin{center}
\unitlength=.25mm
\begin{picture}(205,194)(224,-5)
...
...,152)(315.517,149.264)
\outlinedshading
%
\end{picture}\end{center}
\end{figure}

2.3.4.3.3 「断面の?」強度:

さて節-[*]では, 長方形断面のようなものよりI形のような断面の方が力学的に効果的であると 述べた。そこで,トラスの断面積比例という抵抗則との 対比も念頭に置いて,長方形のときと断面積は同じ(トラス的な強度は 同じ)で形状がI形になるようにした場合の断面係数の特徴を見てみよう。 例えば図-2.51のようなI形断面の 断面積は図-2.49の長方形の断面積と同じである。 そこで図示したように,生じた応力の最大値が $\sigma\subsc{i}$になったと すると,応力分布は$x$の位置にある断面で

\begin{displaymath}
\sigma(x,y)=-\dfrac{6y}{5h} \sigma\subsc{i}(x)
\end{displaymath}

となるので,曲げモーメントはその定義から

\begin{displaymath}
M(x)=\int_{\mbox{{\scriptsize 断面の下端}}}^{\mbox{{\scriptsize 上端}}}
\dfrac{6y^2}{5h} \sigma\subsc{i}(x) b(y)\dint y
\end{displaymath}

となる。$b(y)$ $\vert y\vert<\slfrac{h}{2}$では$\slfrac{b}{3}$ $\vert y\vert>
\slfrac{h}{2}$では$b$である。これを積分すると

\begin{displaymath}
M(x)=\dfrac{6\sigma\subsc{i}(x)}{5h} \left\{
\dfrac{b}{3}\i...
...\dint y
\right\}=
\dfrac{107 b h^2}{270} \sigma\subsc{i}(x)
\end{displaymath}

と求められる。つまり

\begin{displaymath}
M(x)=W\subsc{i} \sigma\subsc{i}(x), \quad
W\subsc{i}\equiv
...
...綯}}
\dfrac{6y^2}{5h} b(y)\dint y=\dfrac{107 b h^2}{270}
\end{displaymath}

という関係になる。 式(2.11)を念頭に置けば, より強い曲げ部材を作るためには断面係数$W$を大きくすればいいことがわかる。 したがって,長方形のときの断面係数式(2.10)とI形 断面の$W\subsc{i}$を 比較すると ${\dfrac{W\subsc{i}}{W(\mbox{長方形})}}=
\dfrac{\slfrac{107}{270}}{\slfrac{1}{6}}=\frac{107}{45}
\simeq 2.4$となることから, 同じ断面積(コストあるいは軸力に対する性能はほぼ同じ)ながら, 曲げに対してはこのI形断面の方が2.4倍強い構造になっていることがわかる。 なお,ここでも$y$, $z$の2軸に対して対称な断面形状の場合に限定した 断面係数の定義を用いていることには注意して欲しい。 任意の断面形の場合は章-4で説明する理屈を参照して欲しい。


2.3.5 微分方程式で表したつり合い式

2.3.5.1 局所的なつり合い式と境界条件

梁の二つの断面力の せん断力と曲げモーメントは場所$x$の関数になることがわかったと思う。 多くの科学現象はある種の数理モデルで定式化され,それが予測や設計に 用いられるが,ほとんどの場合それは微分方程式で表される。 つまり,せん断力と曲げモーメントという知りたい・予測したい関数は, 力学原理としてある微分方程式を満足するものとしてモデル化される。 前節までに用いてきたつり合い条件は, ある断面に生じた内力と外力の「巨視的な」つり合いであったが, ここでは「局所的な」,つまり物体中のある点$x$近傍に 注目したときのつり合い条件を考え, その考察から微分方程式で表されたつり合い式を求めておこう。 構造力学を初めて学ぶ人の最初の難関が影響線だ。 次に曲げモーメント,そしてその次が微分方程式で問題を解くというところだろう。 特に「微分方程式を解く」という行為そのものと, 「境界条件が解の性質を大きく左右する」ということに なかなか慣れることができず, 挫折しそうになる難関の一つでもある。 何をしているか理解できる(覚えるのではなく)まで,何度も復習をして欲しい。

図 2.52: 梁のつり合い微分方程式と境界条件
\begin{figure}\begin{center}
\unitlength=.25mm
\begin{picture}(583.08,277.21)(20...
...208,257.61){{\xiipt\rm$y$}}
%
\end{picture}\end{center}\vskip -5mm\end{figure}

図-2.52には,単位長さ当たりの任意の関数で 与えられた分布荷重$q(x)$が作用している長さ$\ell$の梁を描いた。 両端はやや一般化して,どちらにも外力が作用しているように書いてあるが, もし端部が支えられている場合には,ここにある外力は反力と解釈して欲しい。 外力の向きは図-2.33の定義に従った。 まずつり合い式を求めるために,下の楕円の中に描いたような, 任意の点$x$から$\dint x$の長さで取り出した微分要素のつり合いを考えてみる。 まず$y$方向の力のつり合いは

\begin{displaymath}
V(x)-\left\{ V(x)+\D*{V(x)}{x}\dint x \right\}
-q(x)\dint x = 0
\end{displaymath}

になる。この式を整理すると,結局$y$方向のつり合い式は

\begin{displaymath}
\D*{V(x)}{x}+q(x)=0
\end{displaymath} (2.13)

という微分方程式で表される。次にこの$\dint x$の右端を中心にした 反時計回りのモーメントのつり合いをとると

\begin{displaymath}
\left\{M(x)+\D*{M(x)}{x}\dint x \right\}-M(x)-\dint x V(x)
+q(x) \dfrac{(\dint x )^2}{2}=0
\end{displaymath}

のようになる。分布荷重によるモーメントは,$\dint x$が微分長さであることから, 合計$q\dint x$の力が$\dint x$の中央に作用していると捉えて算定してある。 この式も整理して$\dint x$の1次の項(最重要項)だけを 取り出すと,結局モーメントのつり合い式は

\begin{displaymath}
\D*{M(x)}{x}-V(x)=0
\end{displaymath} (2.14)

という微分方程式で表される。この式はどこかで見たことはないだろうか。 そう,既に式(2.9)で示したものと同じで, モーメント図の勾配がせん断力図になるということを示している。 最終的に,式(2.13)と式(2.14)から$V(x)$を 消去すれば,梁の断面$x$におけるつり合いを表す局所的な微分方程式は

\begin{twoeqns}
\EQab
\D*[2]{M(x)}{x}+q(x)=0, \qquad
\EQab \mbox{ただし}\quad V(x)=\D*{M(x)}{x}
\end{twoeqns}

(2.15)



と表すことができる。

さて微分方程式を解くとき,積分する度に積分定数という未定定数が発生する。 この定数を適切に決定できないと,解は唯一に求められたことにはならない。 梁の場合には,端部の状況がこの定数を決定する。 そのような状況を与える条件を,境界条件と呼んでいる。 まず$x=0$での境界条件を求めるために,図-2.52の 左の楕円の中を見て欲しい。これは,長方形断面の梁として, 端部を薄く切り出したものである。手前の見えている面は内部の断面なので, そこには二つの断面力を正しい符号で作用させてある。 向こう側の面は外側の面で,外力が作用している面である。 境界条件は,この薄い部分のつり合いから求められる。 つまり,$y$方向の力のつり合いと,モーメントのつり合いから

\begin{displaymath}
-V(0)=S_0, \quad -M(0)=C_0
\end{displaymath} (2.16)

が,左端での境界条件になる。 同様に,図-2.52の右側の楕円に描いた状況から,$x=\ell$での 境界条件を求めよう。ここではI形断面をした梁を想定した図になっている。 ここでも力とモーメントのつり合いから

\begin{displaymath}
V(\ell)=S_\ell, \quad M(\ell)=C_\ell
\end{displaymath} (2.17)

が,右端での境界条件になる。

図 2.53: 連続条件
\begin{figure}\begin{center}
\unitlength=.25mm
\begin{picture}(230,93)(296,-5)...
...64,27)(368,39)
(364,51)(364,47)(356,47)
%
\end{picture}\end{center}
\end{figure}

次に,梁の中間部に集中せん断力や集中外力モーメントが作用している 場合の条件を考えてみよう。 そこは端部ではないことから,連続条件と呼ばれることが 多い。図-2.53に示したのは,$x=a$に 集中荷重が作用している状況である。 境界条件の場合と同様,この載荷点を挟んで薄い断面を切り出し, そのつり合いを考える。 載荷点の前後を区別するために,記号 $0\le \epsilon \to 0$を付けてある。 この薄片の力とモーメントのつり合いをとると

\begin{displaymath}
V(a-\epsilon)-S_a-V(a+\epsilon)=0, \quad
M(a+\epsilon)+C_a-V(a-\epsilon)=0
\end{displaymath}

となる。式(2.14)から$V=\D*{M}{x}$なので,最終的な連続条件は

\begin{displaymath}
\D*{M}{x}(a-\epsilon)-\D{M}{x}(a+\epsilon)=S_a, \quad
M(a-\epsilon)-M(a+\epsilon)=C_a, \quad 0\le \epsilon \to 0
\end{displaymath} (2.18)

と求められる。

2.3.5.2 境界値問題の例

2.3.5.2.1 等分布荷重の載った単純梁:

前節で求めたように,静定梁の問題は,端部の境界条件と, 梁の場所場所での微分方程式で数理的にはモデル化されている。 このように記述された問題を境界値問題 と呼んでいる。その問題の解き方の例として,図-2.34に 示した等分布荷重が作用した片持ち梁を解いてみよう。 まずつり合い式と境界条件は,式(2.15a) (2.17)から

\begin{displaymath}
\D*[2]{M(x)}{x}+q=0, \qquad M(\ell)=0, \quad V(\ell)=0
\end{displaymath}

と表される。左端は外力が与えられていないから境界条件には ならない。 $q=\mbox{const.}$だから,この微分方程式の一般解は

\begin{displaymath}
M(x)=-\dfrac{q x^2}{2}+c_1 x+c_2
\end{displaymath}

になるので,式(2.15b)のせん断力と曲げモーメントの 関係を考慮して,境界条件に代入すると

\begin{displaymath}
M(\ell)=0=-\dfrac{q \ell^2}{2}+c_1 \ell+c_2, \quad
V(\ell)=0=-q \ell+c_1
\end{displaymath}

となる。したがって$c_1=q \ell$, $c_2=-\frac{q \ell^2}{2}$と決定できる。 これを上の$M(x)$の表現に代入することによって

\begin{displaymath}
M(x)=-\dfrac{q x^2}{2}+q \ell x-\dfrac{q \ell^2}{2}
=-\dfrac{q}{2}\left(\ell-x\right)^2
\end{displaymath}

と求められる。これはp.[*]の式($d$)と一致する。 求められた結果を$x=0$の境界条件式(2.16)に代入すると

\begin{displaymath}
S_0=-q \ell, \quad C_0=\dfrac{q \ell^2}{2}
\end{displaymath}

となり,左端の反力が正しく求められている。

図 2.54: sine関数分布荷重

2.3.5.2.2 非一様な分布荷重が載った単純梁:

もう一つの例として,sine関数で与えられた 分布荷重 $q_0 \sin\left(\frac{\pi x}{\ell}\right)$が 作用している単純梁を解いてみよう。つり合い式と境界条件は

\begin{displaymath}
\D*[2]{M(x)}{x}+q_0 \sin\left(\dfrac{\pi x}{\ell}\right)=0,
\qquad M(0)=0, \quad M(\ell)=0
\end{displaymath}

と表される。$q_0$は分布荷重の最大値である。 境界条件は,両端がピン支承で支えられていることから, 曲げモーメントが両端で零というものになる。 この場合の一般解は

\begin{displaymath}
M(x)=q_0 \left(\dfrac{\ell}{\pi}\right)^2 
\sin\left(\dfrac{\pi x}{\ell}\right)+c_1 x+c_2
\end{displaymath}

になるので,境界条件に代入すると

\begin{displaymath}
M(0)=0=c_2,\quad
M(\ell)=0=c_1 \ell+c_2
\end{displaymath}

となるので,$c_1=0$, $c_2=0$と求められる。したがって曲げモーメント分布は

\begin{displaymath}
M(x)=q_0 \left(\dfrac{\ell}{\pi}\right)^2 
\sin\left(\dfrac{\pi x}{\ell}\right)
\end{displaymath}

となる。せん断力分布はこれを$x$で微分すれば求められ, 両端の支点反力はそれを両端のせん断力の境界条件に代入して

\begin{displaymath}
S_0=-\dfrac{q_0 \ell}{\pi}, \quad
S_\ell=-\dfrac{q_0 \ell}{\pi}
\end{displaymath}

と求められる。外力の総和が $\frac{2 q_0 \ell}{\pi}$であるから, 上向きの力として正しく反力が求められている。

2.3.5.2.3 集中荷重の載った単純梁:

最後に,スパンの三分の一の位置に集中荷重が作用する 単純梁(p.[*]の図-2.36)を解いてみよう。 この場合は, $0<x<\frac{\ell}{3}$, $\frac{\ell}{3}<x<\ell$の 両区間でのつり合い式は $\D*[2]{M}{x}=0$だから,一般解は両区間共に

\begin{displaymath}
M(x)=c_1 x+c_2, \quad 0<x<\frac{\ell}{3}, \qquad
M(x)=c_3 x+c_4, \quad \frac{\ell}{3}<x<\ell
\eqno{(k)}
\end{displaymath}

である。境界条件は

\begin{displaymath}
M(0)=0, \quad M(\ell)=0
\end{displaymath}

であり,連続条件は式(2.18)から $a=\frac{\ell}{3}$として

\begin{displaymath}
\D*{M}{x}(a-\epsilon)-\D*{M}{x}(a+\epsilon)=P, \quad
M(a-\epsilon)-M(a+\epsilon)=0, \quad 0\le \epsilon \to 0
\end{displaymath}

と表される。以上の4条件式に一般解を代入して整理すると

\begin{displaymath}
c_2=0, \quad c_3 \ell+c_4=0, \quad
c_1-c_3=P, \quad c_1 \dfrac{\ell}{3}+c_2-c_3 \dfrac{\ell}{3}-c_4=0
\end{displaymath}

となるので,$c_2=0$を他の式に代入すれば

\begin{displaymath}
\left(\begin{array}{ccc}
0 & \ell & 1 \\
1 & -1 & 0 \\
...
...ht\}=\left\{\begin{array}{c}
0  P  0
\end{array}\right\}
\end{displaymath}

の連立方程式を解けばいいことになり,結局

\begin{displaymath}
\left\{\begin{array}{c}
c_1  c_3  c_4
\end{array}\righ...
...begin{array}{c}
2\ell  -\ell  \ell^2
\end{array}\right\}
\end{displaymath}

となるので,曲げモーメント分布は

\begin{displaymath}
M(x)=\dfrac{2P x}{3}, \quad 0<x<\dfrac{\ell}{3}, \qquad
M(x)=\dfrac{P (\ell-x)}{3}, \quad \dfrac{\ell}{3}<x<\ell
\end{displaymath}

と求められる。 これはp.[*]の 式($e$)やp.[*]の式($f$)と一致する。

図 2.55: 集中荷重の載荷

  1. 練習問題2-3の問題3と同じ 問題を,微分方程式を用いて解け。
  2. 右図-2.55のように, スパン中央に集中外力モーメント$Q$を受ける単純梁を,微分方程式を 用いて解け。


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Iwakuma Tetsuo
Mon, 18 Feb 2013 12:48:52 +0900 : Stardate [-28]8120.79