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1.1 この文書の中身について

構造力学 は,ある種の仮定を連続体力学に追加して構築された 力学の近似理論体系である。その仮定は,構造特有の幾何学的な特徴, すなわち,細長い・薄いといった特徴を最大限活かしたものであり, 非常に簡単な仮説に基づき美しい理論 (例えば表-7.1)が誘導されている。 その定式化や解法は,この文書の企画段階での共著者の言葉を 借りるならば,「工学のスタンダードな方法として」代表的な 手法と言えるだろう。 そして,連続体の力学というのは変形できる物体の力学体系であるから, 構造力学も変形できる物体の力学である。

その力学を理解し使えるようになるために,できるだけ物理的に,しかし 著者の能力の範囲内での数学的な正確さを保持しながらこれを書いてみた。 だから間違っている可能性が非常に高いが。呵呵。 特に,第1著者自身が理解できない「エネルギ1.1」という 概念を可能な限り使わないように心掛け,「仕事」の 段階で説明がつくことはそこまでとした。 また古典的・手計算的解析法については,境界値問題の 標準的な解法以外はできるだけ載せなかった。 何となくわかったような気にさせる魔法や一般論も 避け,個別的な情報の羅列にはなるものの,個々の話題毎に できるだけ物理的かつ数学的表現を心掛けた。 また基本的な部分についてはその誘導等も含めて詳述するように努め, 読者が他の文献を用いずにこの文書だけから,著者が大事だと思っていることを 学べるようにしたつもりである。 したがって第1著者の現状と同様,この文書の理解だけでは残念ながら, 手計算でラーメン(骨組)を解けるようにはならないと確信している。 「エネルギ」を避けて「仕事」を,と書いたが,基本的には 「仮想仕事」という関数同士の積の積分(例えば式(3.95) (5.4)前後の解説を参照のこと),つまり「二つの関数の内積 」がこの文書の背骨になっている。 ただし,「仮想仕事」も使い方によっては数学的過ぎる場合もあるので, 使わないでもいいところではできるだけ使わないようにした。

東北大学のカリキュラム等から類推すると,たいていの大学の土木系 学科・専攻における, 学部2年生前半の静定構造を学ぶ講義から 大学院の材料力学と構造力学に関する講義までの 内容になっていると思う。章-[*]は 第12版でようやく形式的には埋めることができたもので, 東北大学工学部建築・社会環境工学科における2年生前半の コース振り分けのための情報提供科目「シビックデザインの力学」を 担当した際に作ったスライドと配付資料を中心にした。 この文書を書くに当たっては, 東京大学堀井秀之教授のご尽力で土木学会構造工学委員会の下に 設置された力学教育研究に関する小委員会での議論もたいへん参考に なった[120,121]。委員の方々に感謝する。 この委員会の報告書等は,まえがきに書いたWeb Pageにアクセスすれば, すべて得ることができる。

材料力学や塑性論については東北大学の岸野佑次名誉教授から, 有限要素法については同大の京谷孝史教授から, 多くの明快で有益な示唆を受けた。振動論については, 同大の斉木功准教授と秋山充良准教授からデータや有益な情報と コメントをいただいた。 また行列計算の検算等で,同大 大学院修士課程(俗称)に在学していた時の小林裕君や安藤聡君の協力を得た。 読んでいただき,細かい語句から内容に至るまで 貴重なご意見をいただいた東北大学元教授の藤原稔先生1.2と, 東北学院大学の飛田善雄教授と中沢正利教授, 秋田大学の後藤文彦准教授に感謝します。 もちろん,第1著者が学生のときに受けた講義の担当教員にも感謝しています。

なお,本文中の固有名詞等には原則として原語を用いることとし, 括弧書きの翻訳を示していない。 同様に索引に並べる語句等も, 日本語か原語およびその混合のどれかを本文中では用い, 括弧書きの翻訳を略している。 その代わり索引そのものでは,どちらの言語からでも引けるようにした。 また索引には,TEXについての著名な著書[46]を 真似た箇所がある。 タイトルは,第10版までの「数値利器楽の構造利器が苦ぅーっ」という ふざけたものをやめ,第11版からは真面目に 「鬆す徒労と ら苦衷有く ちゃ る迷禍荷苦痛」と したが, これについては東京工業大学の森勉名誉教授の命名 「毎苦労迷禍荷苦痛[140]」を参考にした。


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Iwakuma Tetsuo
Mon, 18 Feb 2013 12:48:52 +0900 : Stardate [-28]8120.79