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8.4 剛性方程式

8.4.1 仮想仕事式

Navierの解法で解ける問題は限られているし,級数の収束の問題等, 工学的にも多くの問題がある。そこで章-5で紹介した 有限要素近似を平板に適用しよう。 仮想仕事式 を,つり合い式(8.21)からGaussの 発散定理を用い,式(8.15)の曲げモーメントと 変位の関係式を代入して書き直すと,物理的に意味のある表現として

    $\displaystyle \int_x\int_y D \Biggr[
\left\{\D[2]{w}{x}+\nu\D[2]{w}{y}\right\} \delta\D[2]{w}{x}
+ \left\{\D[2]{w}{y}+\nu\D[2]{w}{x}\right\} \delta\D[2]{w}{y}$ (8.25)
    $\displaystyle \qquad\mbox{}+
2(1-\nu)\D[2][1][y]{w}{x} \delta\D[2][1][y]{w}{x}...
...\dint x \dint y
-\int_x\int_y q \delta w\dint x \dint y -
\mbox{(境界項)} =0$  

が求められる。別の表現も可能だが,なぜかこの形を使う。 これに変位関数を適切に選んで代入すれば, 平板の要素剛性方程式を求めることができる。

8.4.2 変位関数

物体が2次元の拡がりを持つ場合,変位関数は一般的には

\begin{displaymath}
w(x,y)=\sum_{0\leq i,j\leq N} \alpha_{ij} x^i y^j
\end{displaymath}

の形で与えられるが,物理的に適切な変位関数であるためには

  1. 式(8.25)の表現からみて2階の微係数が存在し
  2. 境界条件も併せて考慮すると, 要素の周囲に沿って,1階の微係数が連続つまりたわんだ板の表面が滑らかで
  3. 剛体変位を表現できればいい

という条件を満足しなければならない。 実はこの二番目の条件を満足する関数を 選ぶのは困難で,しかも苦労の割には精度がよくないことがわかっている。 例えば長方形要素を用いた場合に,そのたわみの微係数が4隅の節点で 連続するような関数を選べたとしても,要素の辺に沿っても微係数が 連続するとは限らないのである。これは,要素に辺を 持たない棒要素では考える必要の無かった点である。この条件を 満足しない要素は物理的にはおかしいわけだが,逆に, そういった板要素の方が良い結果を与えることがあることも わかっている。このような要素を非適合要素 と呼んでいる。 代表的な適合・非適合要素(古典?)を一つずつ紹介しておこう。

  1. Hermite補間式を用いた長方形適合要素: 4隅 の節点で$w$, $\D{w}{x}$, $\D{w}{y}$, $\D[2][1][y]{w}{x}$の四つの自由度を選ぶと,この要素の 総自由度が16となる。表-8.1の 下線で示した項を用いる。
  2. Adini-Clough-Meloshの長方形非適合要素: 4隅の 節点で,$w$, $\D{w}{x}$, $\D{w}{y}$の合計12自由度を 選ぶ。表-8.2の下線の項を用いる。

それぞれの特徴やその他の要素についての詳細については 有限要素法に関する多くの参考文献等を参照のこと。


表 8.1: 適合長方形要素の例
表 8.2: 非適合長方形要素の例
\begin{table}
\begin{center}
$\underline{1}$\\
$\underline{x}\quad\underline{y}...
...erline{x^3 y}\quad x^2y^2\quad\underline{xy^3}\quad y^4$
\end{center}\end{table}



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Iwakuma Tetsuo
Mon, 18 Feb 2013 12:49:24 +0900 : Stardate [-28]8120.79