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8.3 境界値問題の解法の例

8.3.1 変位で表した曲げの境界値問題

図 8.6: 4辺を単純支持された矩形板
\begin{figure}\begin{center}
\unitlength=.25mm
\begin{picture}(244,138)(120,-5)
...
...bject  ...

最も基本的な例として,図-8.6の4辺共に 単純支持された矩形板を解く。 任意の分布外力$q(x,y)$が作用した矩形板の場合の$w(x,y)$で 表されたつり合い式は,式(8.22)で与えられている。 境界条件は式(8.24)から

\begin{eqnarray*}
&& x=0,  a \mbox{ では} \quad w=0 \quad\mbox{かつ}\quad M_x=0 \\
&& y=0,  b \mbox{ では} \quad w=0 \quad\mbox{かつ}\quad M_y=0
\end{eqnarray*}

となる。力の境界条件はどちらもモーメントが作用していない 条件で,モーメントと変位の関係式(8.15)を代入すると, 例えば $x=\mbox{const.}$の辺では

\begin{displaymath}
-D\left(\D[2]{w}{x}+\nu \D[2]{w}{y}\right)=0
\end{displaymath}

となる。しかし,この $x=\mbox{const.}$の辺上では$w=0$$y$方向にも 保持しているから$\D{w}{y}$は零である。 したがって上式の第2項は実質的に考える必要が無い。 このように考えると,たわみ$w$で表した境界条件は

\begin{displaymath}
x=0,  a \mbox{ では} \quad
w=0 \quad\mbox{かつ}\quad \D[2]...
...任 \quad
w=0 \quad\mbox{かつ}\quad \D[2]{w}{y}=0
\eqno{(a)}
\end{displaymath}

と考えていい。

8.3.2 Navierの解法

式($a$)の境界条件のもとで式(8.22)の つり合い式を解けばいいが,ここでは境界条件を満足する関数を 用いて,たわみ$w(x,y)$

\begin{displaymath}
w(x,y)=\sum_{j=1}^\infty \sum_{k=1}^\infty
a_{jk} \sin\dfrac{j\pi x}{a} \sin\dfrac{k\pi y}{b}
\eqno{(b)}
\end{displaymath}

のように級数で仮定する。sine関数を選んだのは, 境界条件式($a$)を すべて満足するからである。節-4.7.2で 梁の振動問題を解くのに用いた固有関数法によく似ている。 (工学的に)ほとんどすべての滑らかな関数はFourier級数で 表示できることを根拠にして,2重Fourier級数 で展開したと考えてもいい。これをNavierの解法 と呼んでいる。

この仮定した解($b$)を式(8.22)の つり合い式に代入すると

\begin{displaymath}
\sum_{j=1}^\infty \sum_{k=1}^\infty D  a_{jk}
\left\{ \lef...
...right\} 
\sin\dfrac{j\pi x}{a} \sin\dfrac{k\pi y}{b}=q(x,y)
\end{displaymath}

となる。この両辺に

\begin{displaymath}
\int_0^a\dint x\int_0^b\dint y  
\sin\dfrac{m\pi x}{a} \sin\dfrac{n\pi y}{b} \times
\end{displaymath}

という演算(内積あるいは仮想仕事の算定)を行おう。 このsine関数は節-4.7.2でも 示したように,例えば

\begin{displaymath}
\int_0^a \sin\dfrac{m\pi x}{a} \sin\dfrac{j\pi x}{a} \dint x...
... & \mbox{  もし  } m\neq j \mbox{  の場合}
\end{array}\right.
\end{displaymath}

という性質(直交性)を持っている。 したがって,上の積分演算を実行すると 左辺の級数は実は$m=j$, $n=k$の場合の1項のみしか残らず, 他はすべて零になる。よって個々の$a_{mn}$に対して

\begin{displaymath}
D \left\{ \left(\dfrac{m\pi}{a}\right)^4
+2\left(\dfrac{m...
...eft(\dfrac{n\pi}{b}\right)^4 \right\} a_{mn}=q_{mn}
\eqno{(c)}
\end{displaymath}

が成立しなければならない。ここに

\begin{displaymath}
q_{mn} \equiv \dfrac{1}{\Delta} \int_0^a\dint x\int_0^b\din...
...2\dfrac{n\pi y}{b}
=\dfrac{a}{2}\times\dfrac{b}{2}
\eqno{(d)}
\end{displaymath}

と置いた。式($c$)より

\begin{displaymath}
a_{mn}=\dfrac{q_{mn}}{D\pi^4\left\{
\left(\slfrac{m}{a}\right)^2+\left(\slfrac{n}{b}\right)^2\right\}^2}
\end{displaymath}

と係数を得るから,式($b$)に代入し直せば解を得る。 結果的に$q_{mn}$は関数$q(x,y)$の2重sine Fourier係数に相当する。

図 8.7: 非一様な外力を受ける4辺を単純支持された矩形板

分布外力が一様で $q=q_0=\mbox{const.}$の場合には式($d$)より

\begin{displaymath}
q_{mn}=\dfrac{16 q_0}{mn\pi^2}, \quad \mbox{ただし$m$も$n$も奇数のみ}
\end{displaymath}

となる。したがって

\begin{displaymath}
w(x,y)=\sum_{m=\mbox{{\scriptsize 奇数}}}
\sum_{n=\mbox{{\s...
...ht)^2\right\}^2} 
\sin\dfrac{m\pi x}{a}\sin\dfrac{n\pi y}{b}
\end{displaymath}

となる。図-8.7には $0<y<\slfrac{b}{2}$にのみ

\begin{displaymath}
q(x,y)=q_0, \quad (0<x<\slfrac{a}{2}), \qquad
q(x,y)=-q_0/2, \quad (\slfrac{a}{2}<x<a)
\end{displaymath}

のような 偏在する分布外力を作用させたときの同様の解を,特徴が 出るように誇張して示しておいた。図では$m$, $n$共に級数の 最初の10項までで打ち切った結果を用いた。

  1. 図-8.7を解いてみよ。


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Iwakuma Tetsuo
Mon, 18 Feb 2013 12:49:24 +0900 : Stardate [-28]8120.79