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10.3 連続体の振動--曲げ剛性の無い構造要素の振動


10.3.1 まっすぐな弦の振動

10.3.1.1 運動方程式

ここまでは,離散的に分布する質点がバネやダッシュポットで結合されている 系を対象としてきた。しかし,身の回りに,あるいは社会基盤構造には, 質量が離散的に分布しているそういった系はほとんど見当たらない。 実際の構造は,連続的に分布した質量を持つ連続体として捉えなければならないことは 明らかであろう。ただ,振動モードといった概念は,連続的な分布質量系でも 非常に重要な概念である。ここでは,拡がりをもった系の振動解析の基本として, まず曲げ剛性の無い系の振動を説明する。

図 10.36: まっすぐな弦の振動
\begin{figure}\begin{center}
\unitlength=.25mm
\begin{picture}(235,143)(156,-5)
...
...8.016)(170.065,45.238)
\outlinedshading
%
\end{picture}\end{center}
\end{figure}

吊橋や斜張橋に用いられているケーブルは弦としてモデル化できそうだ。 弦は,予め大きな張力で引張られて初めて安定する構造である。 ここでも重力の影響は無視し(つり合っている状態からの変動のみを 対象とし),支配方程式を誘導しておく。 まっすぐな弦が振動して変位したある瞬間の図-10.36で, 上下方向の運動方程式は

\begin{displaymath}
T \sin\beta-T \sin\alpha=\rho \Delta x A \D[2]{u(x,t)}{t}
\end{displaymath}

となる。$\rho$は弦の密度で,$A$は弦の断面積である。 弦の変位が十分小さい場合には,幾何学的な関係から

\begin{displaymath}
\sin\alpha\simeq\alpha=\D{u(x,t)}{x},\quad
\sin\beta\simeq\...
...u(x+\Delta x,t)}{x}
=\D{u(x,t)}{x}+\D[2]{u(x,t)}{x} \Delta x
\end{displaymath}

となる。これを上式に代入して整理すると

\begin{displaymath}
T \D[2]{u(x,t)}{x}=\rho A \D[2]{u(x,t)}{t}
\end{displaymath} (10.127)

となる。あるいは

\begin{displaymath}
c\equiv\sqrt{\dfrac{T}{\rho A}}
\end{displaymath} (10.128)

と定義すると,弦の運動方程式

\begin{displaymath}
\D[2]{u(x,t)}{x}=\dfrac{1}{c^2} \D[2]{u(x,t)}{t}
\end{displaymath} (10.129)

となる。ここに$c$は波の速度(位相速度)である。 あるいは式(10.130)は波動方程式 とも呼ばれる。

ここでは長さ$\ell$の両端を固定された弦の振動だけを対象とするので, 境界条件は両端で

\begin{displaymath}
u(0,t)=0, \quad u(\ell,t)=0
\end{displaymath} (10.130)

と与えられることになる。初期条件については, 時間についても2階の微分方程式なので,初期形状と初速で

\begin{displaymath}
u(x,0)=u_0(x), \quad \dot{u}(x,0)=v_0(x)
\end{displaymath} (10.131)

のように与えればいい。

10.3.1.2 固有値問題と固有関数

ここでは変数分離で解を求めてみよう。つまり

\begin{displaymath}
u(x,t)=\phi(x) q(t)
\end{displaymath}

と置き,運動方程式(10.130)に代入して整理すると

\begin{displaymath}
\dfrac{\phi''(x)}{\phi(x)}=\dfrac{\ddot{q}(t)}{c^2 q(t)}
\end{displaymath}

となる。プライムは$x$に関する微分を表す。この式は 任意の場所$x$と時刻$t$で成立しなければならないが,左辺は$x$のみの 関数であり,右辺は$t$のみの関数になっており,この等号が成立するのは この両辺ともに定数であるときのみである。つまり

\begin{displaymath}
\dfrac{\phi''(x)}{\phi(x)}=\dfrac{\ddot{q}(t)}{c^2 q(t)}=\Lambda
 (\mbox{const.})
\end{displaymath}

と置けばいいので

\begin{displaymath}
\ddot{q}(t)-\Lambda c^2 q(t)=0, \quad
\phi''(x)-\Lambda \phi(x)=0
\end{displaymath} (10.132)

が独立して成立しなければならない。境界条件も変数分離すると, 任意の時刻でそれが成立しなければならないので

\begin{displaymath}
\phi(0) q(t)=0, \quad \phi(\ell) q(t)=0 \quad\to\quad
\phi(0)=0, \quad \phi(\ell)=0
\end{displaymath} (10.133)

となる。初期条件は分離できないので,しばらく放置しておこう。

運動方程式と境界条件だけが分離できたので, 式(10.133)の$\phi(x)$の方が 先に解けそうだ。まず$\Lambda>0$の場合は$\Lambda=\mu^2$と 置くと,一般解は

\begin{displaymath}
\phi(x)=A \sinh\left(\mu x\right)+B \cosh\left(\mu x\right)
\end{displaymath}

となるので,境界条件式(10.134)に代入すると

\begin{displaymath}
B=0, \quad A \sinh\left(\mu\ell\right)=0
\end{displaymath}

から積分定数を決めることになる。しかし$\mu\ell>0$で, そのとき$\sinh$は常に正なので, 結局$A=0$, $B=0$のみが解となり,意味のある$\phi(x)$は存在しないことになる。 では次に$\Lambda=0$の場合を考えると,一般解は $\phi(x)=A x+B$となるので, 境界条件が$B=0$, $A\ell=0$を要求し,これも意味のある解にはならない。 したがって$\Lambda$は負でなければならないことがわかる。

では $\Lambda=-\mu^2$と置くと,一般解は

\begin{displaymath}
\phi(x)=A \sin \mu x+B \cos \mu x
\end{displaymath}

となり,境界条件から

\begin{displaymath}
B=0, \quad A \sin\mu\ell=0
\end{displaymath}

を得る。ここで$A$が零にならないためには

\begin{displaymath}
\sin\mu\ell=0 \quad \to \quad \mu\ell=n\pi, \quad
\Lambda=-\left(\dfrac{n \pi}{\ell}\right)^2, \quad
n=1,2,\cdots
\end{displaymath} (10.134)

でなければならない。したがって$A$は不定になり,解は

\begin{displaymath}
\phi(x)\sim \sin\left(\dfrac{n \pi x}{\ell}\right)
\end{displaymath} (10.135)

と求められる。最終的に式(10.133)の$q(t)$の 微分方程式に,式(10.135)の$\Lambda$を代入して解くと

\begin{displaymath}
q(t)\sim \sin\left(\dfrac{n\pi c t}{\ell}\right), \quad
\cos\left(\dfrac{n\pi c t}{\ell}\right)
\end{displaymath}

が解である。この形が固有振動数$\omega$のsine, cosine関数に なることから,弦の振動の固有振動数$\omega_n$

\begin{displaymath}
\omega_n=\dfrac{n\pi c}{\ell}=\dfrac{n\pi}{\ell} \sqrt{\dfrac{T}{\rho A}}
\end{displaymath}

となる。つまり,長い弦や重く太い弦は振動数が小さくなるので,音は 低くなる。一方,その逆にするか,張力を大きくすると,音は高くなる。 グランドピアノの蓋を開けてみて欲しい。 低い音のピアノ線は太く長くなっているし, 高い音のピアノ線は細く短くなっている。 調律(チューニング)では弦の張力$T$を調整する。

もう一度$\phi(x)$を求めるプロセスを書くと,解くべき問題は

\begin{displaymath}
\phi''(x)-\Lambda \phi(x)=0, \quad
\phi(0)=0, \quad \phi(\ell)=0
\end{displaymath} (10.136)

と表すことができる。これは $\phi(x)\equiv 0$が解の一つであり, 微分方程式で表された固有値問題になっている。$\phi(x)$固有関数 と呼ばれ,$\Lambda$あるいは$\mu$固有値である。 物理的な言葉を使うなら,$\phi(x)$固有振動モード であり, $c\sqrt{-\Lambda}=\mu c$固有振動数である。連続体の場合は, 式(10.136)のように無限個の固有関数があり, そのすべてが解の候補である。固有値もそれに対応して無限個ある。 ここで多自由度系の振動を解くときのモード解析法を思い出してみよう。 モード解析法では,まず自由振動解析をして 固有振動モード(固有ベクトル)と固有振動数(固有値)を 求め,そのモードを用いて解を級数解で仮定し,答を求めようとした。 弦の場合も同様に,上式(10.137)の固有値問題を解いて 固有関数と固有値を求めることができた。したがって,多自由度系の解の 表現式(10.107)を拡張し

\begin{displaymath}
u(x,t)=\sum_{n=1}^\infty q_n(t) \phi_n(x), \quad
\phi_n\eq...
...\quad
\Lambda_n=-\mu_n^2=-\left(\dfrac{n \pi}{\ell}\right)^2
\end{displaymath} (10.137)

と仮定して,問題を解くことを考えてみる。

10.3.1.3 固有関数の直交性

まず多自由度系のモード解析法で重要な特性であった 固有振動モード(ベクトル)の直交性を思い出して, 弦の固有振動モード(関数)の直交性について確認しよう。 ある$n$次の固有関数$\phi_n(x)$は,式(10.137)から

\begin{displaymath}
\phi_n''(x)-\Lambda_n \phi_n(x)=0
\end{displaymath} (10.138)

を満足している。 モードの直交性を検証するときには,別のモードを仮想変位と 考えて仮想仕事を算定してみることから始めていた。ここでも 同じアプローチをしてみる。つまり上式に$\phi_i(x)$を乗じて, 全領域積分すれば,弦全体の仮想仕事になる。 つまり,その仮想仕事式は

\begin{displaymath}
\int_0^\ell \phi_i(x) \left\{\phi_n''(x)-\Lambda_n \phi_n(x)\right\} \dint x=0
\end{displaymath}

となる。第1項を部分積分すると

\begin{displaymath}
\int_0^\ell \phi_i \phi_n''\dint x=
\phi_i \phi_n'\Bigr\vert _0^\ell - \int_0^\ell \phi_i' \phi_n'\dint x
\end{displaymath}

となるから,境界条件式(10.137)で両端の項が消え,結局上式は

\begin{displaymath}
- \int_0^\ell \phi_i' \phi_n'\dint x
-\Lambda_n \int_0^\ell \phi_i \phi_n \dint x=0
\end{displaymath}

という仮想仕事式が成立する。 同じプロセスを第$i$次モードの方程式に適用するために, 固有関数$\phi_n$をそれに乗じて仮想仕事式を求めると

\begin{displaymath}
- \int_0^\ell \phi_n' \phi_i'\dint x
-\Lambda_i \int_0^\ell \phi_n \phi_i \dint x=0
\end{displaymath}

になる。この2式を辺々差し引くと,第1項は同じなので消えてしまい

\begin{displaymath}
\left(\Lambda_i-\Lambda_n\right) \int_0^\ell \phi_n \phi_i \dint x=0
\end{displaymath}

となる。式(10.137)から明らかなように,異なる固有値同士は 異なる値になるので,この問題の固有関数は

\begin{displaymath}
\left\langle \phi_n,  \phi_i\right\rangle\equiv
\int_0^\el...
...{\vskip 1ex}
\dfrac{\ell}{2}, & \quad i=n
\end{array} \right.
\end{displaymath} (10.139)

という性質を持っている。この左辺を二つの関数の内積 と呼んでいる。そして,二つの異なる関数の内積が零になることから, その関数同士は直交していると称するのである。 このような直交性 は,モード解析法にとって最も重要な特性である。

10.3.1.4 固有関数による解法--モード解析法

では,式(10.138)の級数解を運動方程式(10.130)に 代入すると

\begin{displaymath}
\sum_{n=1}^\infty q_n(t) \phi''_n(x)=
\dfrac{1}{c^2} \sum_{n=1}^\infty \ddot{q}_n(t) \phi_n(x)
\end{displaymath}

となるので,式(10.139)を左辺に代入すると

\begin{displaymath}
\sum_{n=1}^\infty \Lambda_n   q_n(t) \phi_n(x)=
\dfrac{1}{c^2} \sum_{n=1}^\infty \ddot{q}_n(t) \phi_n(x)
\end{displaymath}

が成立する。この式と第$i$次の固有関数と内積(仮想仕事)をとると, 結局直交性の式(10.140)によって,級数和の第$i$次成分 以外はすべて零になり

\begin{displaymath}
\left\langle \phi_i,  \phi_i\right\rangle \times 
\left(...
...\quad\to\quad
\ddot{q}_i(t)+\left(c \mu_i\right)^2 q_i(t)=0
\end{displaymath}

が,係数$q_i(t)$を決定する方程式になる。この一般解は

\begin{displaymath}
q_i(t)=A_i \sin \mu_i ct+B_i \cos \mu_i ct
\end{displaymath}

と求められる。したがって,元の問題の一般解は

\begin{displaymath}
u(x,t)=\sum_{n=1}^\infty \left(A_n \sin \mu_n ct+B_n \cos \mu_n ct\right)
  \sin \mu_n x
\eqno{(a)}
\end{displaymath}

となる。

最後に,この一般解の式($a$)を初期条件式(10.132)に 代入すると

\begin{displaymath}
u(x,0)=\sum_{n=1}^\infty B_n   \sin \mu_n x=u_0(x), \quad
\dot{u}(x,0)=\sum_{n=1}^\infty \mu_n c A_n \sin \mu_n x=v_0(x)
\end{displaymath}

となる。再度,第$i$次の固有関数との内積をとると

\begin{displaymath}
\left\langle \phi_i,  \phi_i\right\rangle B_i
=\left\lang...
...u_i c A_i
=\left\langle \phi_i,  v_0(x)\right\rangle, \quad
\end{displaymath}

となることから,積分定数が

\begin{displaymath}
B_i=\dfrac{\left\langle \phi_i,  u_0(x)\right\rangle}
{\le...
...i c \ell} \int_0^\ell v_0(x) \sin \mu_i x \dint x
\eqno{(b)}
\end{displaymath}

と求められる。

図 10.37: 弦の振動の例
\begin{figure}\begin{center}
\unitlength=.01mm
\begin{picture}(7035,2513)(1250,-...
...1,Legend(Title)
%,-1,Graphics End
%E,0,
%
\end{picture}\end{center}
\end{figure}

文献[62]にある例題を転記しておく。 弦の中央を$u_0$だけつまみ上げ,そぉっと手を離したときの 振動を求めてみる。初期条件は

\begin{displaymath}
u_0(x)=\left\{\begin{array}{ll}
u_0 \dfrac{2x}{\ell}, & 0<...
...& \dfrac{\ell}{2}<x<a
\end{array}\right., \quad v_0(x)\equiv 0
\end{displaymath}

のように書くことができる。これを式($b$)に 代入すれば,積分定数を求めることができ,結局

\begin{displaymath}
A_n=0, \quad
B_n=\dfrac{8u_0}{\left(n\pi\right)^2} \sin\left(\dfrac{n\pi}{2}\right)
\end{displaymath}

となる。これを図-10.37に示した。 破線は級数の40項を用いた解で,実線は5項のみで描いた解である。 少ない項数でも比較的いい解が求められている。 厳密解は次の節の図-10.38に示されるように, 三角形や台形のような区分的な直線である。

10.3.1.5 振動と波動

図 10.38: 振動と波動
\begin{figure}\begin{center}
\unitlength=.25mm
\begin{picture}(336,139)(32,-5)...
...string)
\put(104,1){{\normalsize\rm O}}
%
\end{picture}\end{center}
\end{figure}

もう一度,一般解の式($a$)を眺めてみよう。 これを少し書き直すと

\begin{eqnarray*}
&&u(x,t)=\sum_{n=1}^\infty \left(A_n \sin \mu_n ct+B_n \cos ...
...ight)\right\}
+\sin\left\{\mu_n\left(x+ct\right)\right\}\right]
\end{eqnarray*}

となることから,解は$f(x-ct)$という関数と$g(x+ct)$という関数で

\begin{displaymath}
u(x,t)=f(x-ct)+g(x+ct)
\eqno{(c)}
\end{displaymath}

のように表されていることがわかる。 では$f(x-ct)$という関数はどういった現象を表しているだろうか。 例えばある時刻$t=t_0$にある場所$x=x_0$で,この関数が$f_0$という 値を持っていたとする。それから$\Delta t$時間が 経った $t_1=t_0+\Delta t$のときの, $x_1=x_0+c\Delta t$という場所の この関数の値は

\begin{displaymath}
f(x_1-ct_1)=f\left(x_0+c\Delta t-c \left(t_0+\Delta t\right)\right)
=f(x_0-ct_0)=f_0
\end{displaymath}

となる。 つまり,$t=t_0$, $x=x_0$における「物理状態」がそのまま$t=t_1$$x=x_1$で 観察されたことになる。したがって,$f(x-ct)$という関数は, 「$x$の正の方向に$c$で伝播する」物理現象を表している。 同様に,$g(x+ct)$は, 「$x$の負の方向に$c$で伝播する」物理現象を表す。 したがって弦の振動解は,正の方向に$c$で伝播する波と, 負の方向に$c$で伝播する波の重ね合わせと解釈してもいいことに なる。図-10.38には,前節で扱った例題の, 中央をつまみ上げて離した場合の,波動の解の式($c$)の模式図を示した。 右に速度$c$で伝播する実線と左に伝播する破線の重ね合わせが下にある図の 解であり,初期の三角形が台形になり,その高さが徐々に変化していくのが 正解である。 このように,波動と振動は同じ現象であり,その観察の仕方を変えただけで あることがわかる。 したがって,式(10.130)は波動方程式とも呼ばれているのだ。

10.3.1.6 多自由度系と弦

最後に,モード解析法という観点から,多自由度系と弦を比較しておく。 まず固有値問題は

\begin{displaymath}
\left(\fat{K}-\omega_n^2 \fat{M}\right) \fat{\phi}_n=\fat{...
...uad
\phi_n''(x)+\mu_n^2 \phi_n(x)=0 \quad\mbox{と零境界条件}
\end{displaymath}

と表される。固有ベクトルと固有関数は,次のような内積に対して 直交性

\begin{displaymath}
\fat{\phi_i}\supersc{t} \fat{M} \fat{\phi}_n=0 \qquad
\m...
...y \phi_i(x) \phi_n(x)\dint x=0 \qquad \mbox{ただし,} i\neq n
\end{displaymath}

を持っていることから,直交するベクトル,あるいは直交する 関数の集合である。そして解を

\begin{displaymath}
\fat{u}(t)=\sum_{n=1}^N q_n(t) \fat{\phi}_n \qquad
\mbox{あるいは} \qquad
u(x,t)=\sum_{n=1}^\infty q_n(t) \phi_n(x)
\end{displaymath}

と仮定して問題を解こうとしている。 連続体は無数の自由度を持つと考えられることから,級数が無限級数になっている。 そして一般化された座標と呼んでもいい$q_n(t)$は,それぞれ

\begin{displaymath}
\ddot{q}_n(t)
+2 \overline{\beta}_n \omega_n \dot{q}_n(t)...
...襪い \qquad
\ddot{q}_n(t)+\left(c \mu_n\right)^2 q_n(t)=0
\end{displaymath}

を解くことによって求められる。これは見かけ上,1自由度系の 運動方程式である。最終的に,積分定数は初期条件から 決定することができ,その際にも重要な性質が直交条件である。


10.3.2 円形膜の振動

10.3.2.1 運動方程式

膜というのは弦が2次元的に拡がったようなもので,これも比較的 大きな引張り張力を与えておかないと,安定な構造にはならない。 ここでは,あまり社会基盤構造では使わないが,ドームの天井を 設計するための頭の体操に するためと,いわゆるFourier級数は必ずしも三角関数による 級数だけではないことを示すために,円形膜の振動を考えてみる。 その運動方程式は,式(10.130)を2次元に拡張した

\begin{displaymath}
\nabla^2 u(x,y,t)=\dfrac{1}{c^2} \D[2]{u(x,y,t)}{t}
\end{displaymath}

になることは,すぐに推測できると思う。$c$は やはり張力$T$と密度$\rho$で定義された位相速度である。ただここでは, 円形領域の問題を対象としていることから,直角座標ではなく, 極座標で表現した方がいいことも容易に推測できる。 極座標でのラプラシアンは

\begin{displaymath}
\nabla^2\equiv \dfrac1r \D{}{r} \left(r \D{}{r}\right)
+\dfrac{1}{r^2} \D[2]{}{\theta}
\end{displaymath} (10.140)

となることは,数学の本を見ればわかるので,結局, 膜の運動方程式

\begin{displaymath}
\dfrac1r \D{}{r} \left(r \D{u(r,\theta,t)}{r}\right)
+\d...
...,t)}{t}, \quad
0<r<R\sub{o}, \quad -\pi<\theta<\pi, \quad 0<t
\end{displaymath} (10.141)

となる。$R\sub{o}$は膜の外径である。境界条件は,周囲が固定されているものとして

\begin{displaymath}
u(R\sub{o}, \theta, t)=0
\end{displaymath} (10.142)

となるが,運動方程式(10.142)が$r=0$で特異になる(分母が 零になる)ことを考慮して,円形膜の中央で「おかしなこと」が起きないことを 条件にするために

\begin{displaymath}
\left\vert u(0,\theta,t)\right\vert<\infty
\end{displaymath} (10.143)

を付帯的な条件としておく。ただし, もし内径が$R\sub{i}$のドーナツ状の膜を対象とする場合には, 式(10.144)の付帯条件の代わりに $u(R\sub{i},\theta,t)=0$と なることには注意して欲しい。さらに,膜は折れ曲がったり破れたりしないで 連続したままであるから,例えば$\theta=\pm\pi$における

\begin{displaymath}
u(r,-\pi,t)=u(r,\pi,t), \quad
\D{u}{\theta}(r,-\pi,t)=\D{u}{\theta}(r,\pi,t)
\end{displaymath} (10.144)

という連続条件も課すことにする。初期条件は,時刻$t=0$における 初期形状と初速を与えればいいから

\begin{displaymath}
u(r,\theta,0)=u_0(r,\theta), \quad \D{u}{t}(r,\theta,0)=v_0(r,\theta)
\end{displaymath} (10.145)

と与えられるものとする。

10.3.2.2 固有関数

弦の場合と同様に変数分離をすれば求めることができるが, 弦の固有値問題の拡張から,最も重要な固有値問題は

\begin{displaymath}
\frac1r \D{}{r}\left(r\D{\phi(r,\theta)}{r}\right)
+\dfrac{1}{r^2}\D[2]{\phi(r,\theta)}{\theta}=\Lambda \phi(r,\theta)
\end{displaymath} (10.146)

となりそうなことは,きっと容易に推測できると思う。 $\phi(r,\theta)$が 固有振動モード である。疑問を持った人は変数分離をしてみて欲しい。$\Lambda$が定数である。 ここでさらに変数分離をして

\begin{displaymath}
\phi(r,\theta)=R(r) \Theta(\theta)
\end{displaymath} (10.147)

を上式に代入して整理すると

\begin{displaymath}
\dfrac{r\left(r R'\right)'}{R}-\Lambda r^2=-\dfrac{\Theta''}{\Theta}
=\zeta (\mbox{const.})
\end{displaymath}

が成立しなければならないことがわかる。 プライムは,それぞれ引数についての微分である。 つまり$R'(r)$$r$による微分で, $\Theta'(\theta)$$\theta$による微分である。 これから,それぞれについての微分方程式は

\begin{displaymath}
r \left(r R'\right)'-\left(\zeta+\Lambda r^2\right) R=0, \quad
\Theta''+\zeta \Theta=0
\end{displaymath} (10.148)

と表現できる。一方,境界条件式(10.143) (10.144) (10.145)は,$R$については

\begin{displaymath}
R(R\sub{o})=0, \quad \left\vert R(0)\right\vert<\infty
\end{displaymath} (10.149)

であり,$\Theta$については

\begin{displaymath}
\Theta(-\pi)=\Theta(\pi), \quad
\Theta'(-\pi)=\Theta'(\pi)
\end{displaymath} (10.150)

となる。

まず $\Theta(\theta)$は,微分方程式(10.149)を眺めた上で, 境界条件式(10.151)が周期解であることを要求するので, 最低限,この定数$\zeta$は正でなければならないことが明らかである。 また,その解は$2\pi$周期でない限り 境界条件($\theta$方向の連続条件)式(10.145)を満足しないので, 結局$\zeta$は非負の整数

\begin{displaymath}
\zeta=n^2, \quad n=0,1,2,\cdots
\end{displaymath} (10.151)

でなければならず,対応する固有関数は

\begin{displaymath}
\Theta(\theta)=\Theta_n(\theta)
=A_n \sin n\theta+B_n \cos n\theta,
\quad n=0, 1, 2, \cdots
\end{displaymath} (10.152)

となる。$n=0$を含むことに注意する。

この$\zeta$$R$の方程式(10.149)に代入すると

\begin{displaymath}
r \left(r R'\right)'-\left(\Lambda r^2+n^2\right) R=0 \q...
...るいは}\quad
r^2 R''+r R'-\left(\Lambda r^2+n^2\right) R=0
\end{displaymath} (10.153)

$R(r)$を決める微分方程式になる。 まず$\Lambda$の符号を検討するために, まずそれが正($\Lambda>0$)であると仮定してみる。 そこで式(10.154)を$r$で 割ったものに$R(r)$を乗じて,$r=0$から$R\sub{o}$まで積分する。つまり

\begin{displaymath}
\int_0^{R\sub{o}} R \left(r R'\right)' \dint r=
\int_0^{R\...
...frac{\Lambda r^2+n^2}{r}\right) R^2 \dint r \ge 0
\eqno{(a)}
\end{displaymath}

が成り立つ。右辺の被積分関数は非負なので,積分値も非負になる。 一方左辺については,部分積分をして境界条件を考慮すると

\begin{displaymath}
\int_0^{R\sub{o}} R \left(r R'\right)' \dint r=
R \left(...
...t)^2\dint r
=-\int_0^{R\sub{o}} r \left(R'\right)^2\dint r<0
\end{displaymath}

となる。結局,式($a$)の左辺は負で,右辺は非負になることから, 仮定の($\Lambda>0$)が成立しないことがわかる。 よって $\Lambda=-\mu^2$と置こう。 こうすると,$R$についての微分方程式は,式(10.154)から

\begin{displaymath}
r^2 R''+r R'-\left(n^2-\mu^2 r^2\right) R=0
\end{displaymath} (10.154)

となる。この式はBesselの微分方程式と呼ばれ,解はBessel関数

\begin{displaymath}
R(r)\sim J_n(\mu r), \quad Y_n(\mu r)
\end{displaymath} (10.155)

と表現することが多い。$J_n$$n$次の第1種Bessel関数,$Y_n$$n$次の 第2種Bessel関数と呼ばれる。それぞれの例を図-10.39に 示した。

図 10.39: Bessel関数
\begin{figure}\begin{center}
\unitlength=.01mm
\begin{picture}(6964,4367)(1210,-...
...1,Legend(Title)
%,-1,Graphics End
%E,0,
%
\end{picture}\end{center}
\end{figure}


表 10.1: 第1種Bessel関数の零点
$m$ 1 2 3 $\cdots$
$n=0$ ($J_0$) 2.40 5.52 8.65 $\cdots$
$n=1$ ($J_1$) 3.83 7.02 10.2 $\cdots$
$n=2$ ($J_2$) 5.14 8.42 11.6 $\cdots$
$\vdots$ $\vdots$ $\vdots$ $\vdots$ $\ddots$

しかし,境界条件式(10.150)は,$r=0$における有界性を 要求していることから,図からも明らかなように, 第2種のBessel関数は解の候補にはならない。 もちろん,ドーナツ状の膜の場合は$r=0$を含まないので,第2種のBessel関数も 候補にはなる。したがって,ここの円形膜の場合には,$R(r)$

\begin{displaymath}
R=R_n(r)=J_n(\mu_n r), \quad n=0,1,2, \cdots
\end{displaymath}

が解になる。さらに,周上の境界条件式(10.150)から

\begin{displaymath}
J_n(\mu_n  R\sub{o})=0
\eqno{(b)}
\end{displaymath}

が成立しなければならない。この条件が 固有値$\mu_n$を決定する。図-10.39から 容易に推測できるように,Bessel関数は,一定周期ではないものの 周期的に零をまたぐ関数で,零点は無限個存在する。したがって, 上式($b$)を満足する$\mu_n$はそれぞれの$n$に対して無限個 存在する。したがって,それを1個目から$m=1$, 2, $\cdots$と記すことに して,$\mu_{nm}$という固有値が

\begin{displaymath}
J_n(\mu_{nm} R\sub{o})=0, \quad n=0,1,2,\cdots \quad m=1,2,3,\cdots
\end{displaymath} (10.156)

を満足しているものとして求められる。表-10.1に具体的な 零点を列挙したが,これを用いると例えば

\begin{displaymath}
\mu_{01}=\dfrac{2.40}{R\sub{o}}, \quad\cdots\quad
\mu_{22}=\dfrac{8.42}{R\sub{o}}, \quad\cdots
\end{displaymath}

のような値を$\mu_{nm}$は持つことになる。したがって, 固有関数$R(r)$の解は最終的に

\begin{displaymath}
R(r)=R_{nm}(r)=J_n(\mu_{nm} r), \quad n=0,1,2,\cdots \quad m=1,2,3,\cdots
\end{displaymath} (10.157)

となる。Bessel関数が一定周期ではないことから,$\mu$も例えば$\pi $の 整数倍のような表現にはならないことに注意して欲しい。

10.3.2.3 固有関数の直交性

まず式(10.153)の固有関数 $\Theta_n(\theta)$は,前節の弦の 場合の特性からも容易に予想できるように,$n\neq m$に対して直交性

\begin{displaymath}
\left\langle \Theta_n,   \Theta_m \right\rangle_\theta
\eq...
...\int_0^{2\pi} \Theta_n(\theta) \Theta_m(\theta)\dint \theta=0
\end{displaymath} (10.158)

が成立する。すなわち直交関数列 である。 一方,Bessel関数の場合はどうなっているだろう。直交性の検討の場合には, つり合い式(微分方程式)にある一つの固有関数を仮想変位と想定したときの 仮想仕事式を用いてきた。ここでも同様のアプローチを試みる。 あるBessel関数$R_{nm}$は,式(10.149)あるいは 式(10.155)から

\begin{displaymath}
\dfrac1r \left(r R_{nm}'\right)'
+\left(\mu^2_{nm}-\dfrac{n^2}{r^2}\right) R_{nm}=0
\end{displaymath}

を満足している。これに$R_{nk}$を仮想変位として乗じて 円形膜内で積分する。極座標の微分面積が $r\dint r\dint\theta$で あることに注意すれば,その仮想仕事式は

\begin{displaymath}
0=\int_0^{R\sub{o}} \left\{\dfrac1r \left(r R_{nm}'\right)...
...{nm}-\dfrac{n^2}{r^2}\right) R_{nm}\right\} R_{nk} r\dint r
\end{displaymath}

としなければならないことがわかる。 被積分関数の第1項は,部分積分して境界条件を考慮すると

\begin{displaymath}
\int_0^{R\sub{o}} \left(r R_{nm}'\right)' R_{nk}\dint r
...
...R'_{nk}\dint r
=-\int_0^{R\sub{o}} r R'_{nm} R'_{nk}\dint r
\end{displaymath}

となるので,上の仮想仕事式は

\begin{displaymath}
0=-\int_0^{R\sub{o}} r R'_{nm} R'_{nk}\dint r
-n^2 \int_0...
...dint r
+\mu_{nm}^2 \int_0^{R\sub{o}} R_{nm} R_{nk} r\dint r
\end{displaymath}

となる。同じプロセスを$R_{nk}$が満足する微分方程式に適用するために, それに$R_{nm}$を乗じて仮想仕事式を誘導すると

\begin{displaymath}
0=-\int_0^{R\sub{o}} r R'_{nk} R'_{nm}\dint r
-n^2 \int_0...
...dint r
+\mu_{nk}^2 \int_0^{R\sub{o}} R_{nk} R_{nm} r\dint r
\end{displaymath}

となる。この2式を差し引くと,結局第1, 2項は同じなので消えてしまい

\begin{displaymath}
0=\left(\mu_{nm}^2-\mu_{nk}^2\right) 
\int_0^{R\sub{o}} R_{nk} R_{nm} r\dint r
\end{displaymath}

となる。異なる固有値同士は値が違うから,最終的に$m\neq k$のとき, 次式で定義した内積で

\begin{displaymath}
\left\langle R_{nm},   R_{nk} \right\rangle_r\equiv
\int_0^{R\sub{o}} R_{nm}(r) R_{nk}(r) r\dint r=0
\end{displaymath} (10.159)

という関係が成立する。すなわち,Bessel関数も直交性 を有している。 弦の内積の定義式(10.140)とは若干異なり,`$r$'という 重みつき内積になっていることに注意する。

10.3.2.4 固有関数による解法

最初の固有値問題に戻ると,式(10.148)の固有関数が 最終的に

\begin{displaymath}
\phi\supersc{s}_{nm}(r,\theta)=J_{nm}(\mu_{nm} r) 
\sin n...
...) 
\cos n\theta, \quad
n=0,1,2,\cdots, \quad m=1,2,3,\cdots
\end{displaymath} (10.160)

のいずれかとして求められたことになる。 この二つの固有関数は,式(10.159)と 式(10.160)の直交性から,次の内積のもとで

\begin{displaymath}
\left\langle \phi_{nm},   \phi_{jk} \right\rangle_{r\theta}...
...r\dint\theta=0, \qquad \mbox{$n\neq j$あるいは$m\neq k$の場合}
\end{displaymath} (10.161)

のような直交性を有する。 そしてこの固有関数 $\phi_{nm}(r,\theta)$は,式(10.147)から

\begin{displaymath}
\frac1r \D{}{r}\left(r\D{\phi_{nm}(r,\theta)}{r}\right)
+\...
...phi_{nm}(r,\theta)}{\theta}=
-\mu_{nm}^2 \phi_{nm}(r,\theta)
\end{displaymath} (10.162)

を満足する。 簡単のため,しばらくは$\phi$の上付き添え字SCを省略する。

いよいよ元の問題に戻ろう。求められた固有関数を用いて,解を

\begin{displaymath}
u(r,\theta,t)=\sum_{n=0}^\infty \sum_{m=1}^\infty
q_{nm}(t) \phi_{nm}(r,\theta)
\end{displaymath} (10.163)

と仮定する。これを膜の運動方程式(10.142)に代入すると

\begin{displaymath}
\sum_{n=0}^\infty \sum_{m=1}^\infty q_{nm}(t) 
\left\{\fra...
...infty \sum_{m=1}^\infty \ddot{q}_{nm}(t) 
\phi_{nm}(r,\theta)
\end{displaymath}

となる。左辺の被積分関数の中括弧に式(10.163)を代入すると

\begin{displaymath}
- \sum_{n=0}^\infty \sum_{m=1}^\infty q_{nm}(t) 
\mu_{nm}^...
...dot{q}_{nm}(t)+\left(c \mu_{nm}\right)^2 q_{nm}(t)\right\}=0
\end{displaymath}

となる。この両辺に$\phi_{jk}$を乗じて内積(仮想仕事式)を求め, 式(10.162)の直交条件を考慮すると, 結局無限級数の中の$n=j$, $m=k$の項のみが非零になり

\begin{displaymath}
\ddot{q}_{jk}(t)+\left(c \mu_{jk}\right)^2 q_{jk}(t)=0
\end{displaymath} (10.164)

が,$q_{jk}(t)$に対する微分方程式であり,解は

\begin{displaymath}
q_{jk}(t)\sim \sin\left(\mu_{jk}ct\right), \quad
\cos\left(\mu_{jk}ct\right)
\end{displaymath} (10.165)

となる。したがって,元の問題の一般解は

$\displaystyle u(r,\theta,t)$ $\textstyle =$ $\displaystyle \sum_{n=0}^\infty \sum_{m=1}^\infty
\left[
J_{nm}(\mu_{nm} r) \...
...mu_{mn}ct\right)
+B\supersc{s}_{mn} \cos\left(\mu_{mn}ct\right)\right\}\right.$  
    $\displaystyle \mbox{}\qquad\qquad \left.
+J_{nm}(\mu_{nm} r) \cos n\theta 
\...
...u_{mn}ct\right)
+B\supersc{c}_{mn} \cos\left(\mu_{mn}ct\right)\right\}
\right]$ (10.166)

となる。

図 10.40: 円形膜の振動モード

最終的に,未定係数は初期条件で決定される。式(10.146)に 式(10.167)を代入すると

\begin{eqnarray*}
u(r,\theta,0)&=& \sum_{n=0}^\infty \sum_{m=1}^\infty
\left\{ ...
...c}_{mn} \phi\supersc{c}_{nm}(r,\theta) \right\}
=v_0(r,\theta)
\end{eqnarray*}

となる。そこで $\phi\supersc{s}_{jk}$あるいは $\phi\supersc{c}_{jk}$との 内積をとり,式(10.162)の直交条件を使えば

\begin{displaymath}
A\supersc{s}_{jk}=\dfrac{\left\langle v_0(r,\theta), 
\phi...
...persc{c}_{jk}, 
\phi\supersc{c}_{jk}\right\rangle_{r\theta}}
\end{displaymath}

と求めることができる。図-10.40には各振動モードを 描いた。上半分の曲線が$\theta$方向の$\cos n\theta$のモードであり, 一点鎖線より外側にある部分ではたわみが正で,内側にある箇所では 負になっていると見て欲しい。 つまり,この図の並びの2行目は, $0<\theta<\slfrac{\pi}{2}$までの部分が 下にたわむときに, $\slfrac{\pi}{2}<\theta<\pi$の箇所は上に変位することを 示している。また,右軸方向に描いたのが$r$方向のBessel関数で 表されたモードであり,この図の下向きが正のたわみと見て欲しい。 例えば2列目の図では,膜の約半分が下にたわむときに 残りの部分は上に変位することを示している。

  1. 弦ではなく,管楽器のような,片方($x=\ell$)が閉じていて, もう片方($x=0$)が開いている管の中の疎密波動を解いてみよ。 この場合は,$u(x,t)$を管の中のある位置の空気の$x$方向の変位としたとき, 弦と同じ運動方程式と初期条件に支配される。ただし,境界条件は

    \begin{displaymath}
\D{u}{x}(0,t)=0, \quad u(\ell,t)=0
\end{displaymath}

    になる。

  2. 試しに,内径と外径が それぞれ$R\sub{i}$, $R\sub{o}$ ( $0<R\sub{i}<R\sub{o}$)である ドーナツ状の膜の振動を解いてみよ。方程式と初期条件は円形膜と同じであり, 境界条件が

    \begin{displaymath}
u(R\sub{o},t)=0, \quad u(R\sub{i},t)=0
\end{displaymath}

    になる。


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Iwakuma Tetsuo
Mon, 18 Feb 2013 12:50:17 +0900 : Stardate [-28]8120.79