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これもよく,否,全く理解できていないトピックスであるが,1992年頃に 誰かに説明するために作った資料である。 そのあと,故北原道弘先生の授業「弾性波動論」を担当したときに, 文献[101]で勉強を試みたものの,挫折したトピックスである。 破壊力学とこの力学にはいまでも拒否反応しか感じない。
簡単のためにラプラス方程式を対象とする。
で与えられるものとする。
で与えられるものとする。
この基本解が,図-G.1右図の破線部分,
つまり解きたい問題に相当する領域の境界部分()で
のような関数値 を持つものとする。
この基本解を「仮想変位」と捉え,解きたい問題の仮想仕事式を求めよう。
式(G.1a)に式(G.2)のを乗じて領域全体で
積分すると
が成立するはずだ。 そこで,被積分関数第1項にGaussの発散定理を2回適用すれば
となるから,式(G.2)をこの第2項に代入すれば
となり,最終的に
という式が求められる。
これに,解きたい問題の境界条件式(G.1b)と
式(G.3)を代入すると
という式を得ることができる。 この式は,領域内の任意点の解を
の和で表したことになる。
そこで,式(G.4)の
の
極限を考えると,この式の左辺は境界上の解
(
)を求める式になるが,右辺の被積分関数にも
境界の解が含まれていることから,これは積分方程式
になる。ところが,その極限はそんなに簡単ではない。
つまり,基本解は
という特性を持っているからである。
したがって,この
の極限では,
式(G.4)の積分は特異積分になってしまうことに
注意しなければならない。
この積分については文献[101]を勉強して欲しい。
結果だけを写すと
となる(らしい)。
はCauchyの
主値積分であることを指す。
元々の問題が自己随伴
であることから
が成立する(相反定理)ので,上式はとを入れ替えて
とも表現できる。 これが,境界の解を求める積分方程式として解釈できる。