最新版を正確に読む場合には pdf ファイル をどうぞ。これは web 検索のための簡易旧版です。
変位場は章-4に示したように,
基本的な二つの仮定から式(4.5)となる。つまり
である。ここにプライムはに関する微分を表す。
これに対して零でないひずみ成分は
式(4.6)ののみで
となる。この2式の関係式の変分量を算定しておくとそれぞれ
および
となっている。
梁の場合は,章-4でそう定義したように,
梁の軸線を方向にとることにすれば,仮想仕事式の体積積分や
面積積分は,長さの梁に対しては
と置き直せばいいことは明らかであろう。 ただし面積積分のは梁の断面(軸を法線方向とする)という意味である。 式(C.1)の第3項の表面力も梁の表面には作用させないから, この項は,長さの梁の両端の断面での積分項のみになっていると 考えることにする。
式(C.1)の仮想仕事の原理に前節の変位場を代入すれば,
仮定に基づく梁の運動場うんどうば
の範囲の中での力学原理を記述できるはずである。
式(C.3) (C.4)のように零でないひずみ
成分は成分のみであるから,まず第1項の
内力仮想仕事項は
となる。さらに式(4.9) (4.11)で
定義した軸力と曲げモーメントとを用いると上式は
と書くことができる。
被積分関数の第1項を1回,第2項を2回部分積分をすると
となるが,式(4.24)の記号を用いると
とも表すことができる。
次に仮想仕事式の第2項の体積力による仮想仕事項も,
式(C.4)の変位成分の変分の関係を代入すると
でいいことになる。したがって分布外力を
(C.7)
と定義すると上式は
となるので,第2項を部分積分して式(4.24)の記号を
用いると
となる。式(C.7a) (C.7b)はそれぞれ, 方向の梁の 単位長さ当たりの分布外力である。式(C.7c)はその 定義からも明らかなように,梁の単位長さ当たりに分布する 曲げ外力モーメントである。これは通常無視されることが多い。
最後に仮想仕事式の第3項は上記のように梁の両端での面積分のみで
あるから
となる。したがって第2項の体積力についての演算と同様,
式(C.4)を代入し,端外力を
と定義すると,結局この端外力の仮想仕事項は
と書くことができる。もちろん, , はそれぞれ外力としての 軸力・せん断力および外力モーメントである。
以上の各項(C.6) (C.8) (C.10)を
すべて結合すると,梁の仮想仕事式
は
となる。
式(C.11)の仮想仕事式は
任意の仮想変位, に対して
常に満足されなければいけないから,変分問題のEuler方程式
として梁の支配方程式が誘導できる。
すなわち,まず式(C.11)の2行目の被積分関数から
局所的なつり合い式が
でないといけないことがわかる。もしを無視すれば,
この式はそれぞれ式(4.19) (4.20)に一致している。
また境界条件については,仮想仕事式(C.11)の1行目に
ある両端での項から
となることがわかる。これも式(4.23)に一致する。 このように,仮定された運動場の元で誘導される梁理論には せん断力が含まれていない。結局梁理論におけるせん断力は 曲げモーメントの勾配として定義される副次的なものであることがわかる。