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文献[24]とそれを用いた西野教授の「応用弾性学」の
講義で習ったことのうち,なんとなくの印象を得ることができる部分を
列挙してみた。本当は,
斜橋等の設計では斜交座標系で,曲線橋等の設計では直角座標ではない座標系で
力学を論ずる必要がある。図-J.1のような
斜交座標を考え,
下添え字のベクトル (, 2)はその方向の単位の基底ベクトルとする。
図のように,下添え字の単位長さの
基底ベクトルの成分を上添え字を付けて定義し,
それを反変成分
と呼び,任意のベクトルを
のように成分表示(分解)できると考える。
さて図には描いていないが,水平()方向の単位基底ベクトルをとし,
鉛直()方向の単位基底ベクトルをとすると,
ベクトルの水平()方向および鉛直()方向成分, は
それぞれ
になるので,が力でが変位だった場合には,
仕事は二つのベクトルの内積で定義され
となることから
と書くことができる。
一方,上式(J.2)を眺めながら
と定義すると,仕事は
と書くことができている。実は,式(J.3)の下添え字を
付した成分は,図の上添え字の基底ベクトル (, 2)の成分で,
式(J.1)に対応して,任意のベクトルが
のようにも成分表示(分解)できるのである。 この下添え字の成分を共変成分 と呼ぶ。
さて,上式(J.2)の仕事は
とも書くことができる。ここで
と書くことにすると,これは式(J.3)との比較からも
明らかなように,の共変成分である。
つまり
となる。さて図からも明らかなように,は
単位長さではなく
の
長さを持っており,2種類の異なる基底ベクトル同士は直交し
の関係が成立する。ここにはKroneckerのデルタである。
結局仕事は
と書くことができる。ただし,右二つの式にあるように 通常はの記号を省略し,同じ添え字が上下に2回出てくる場合にのみ, それは1から3まで総和をとる(総和規約 )ものとする。
さて方向の座標をと記すことにすると,
水平・鉛直の直角座標のとの間には
の関係がある。実は基底ベクトルは
とも定義される。具体的に式(J.11)を代入すると
のように,幾何学的に求められるものと一致する。 これはどちらも無次元の単位ベクトルであるが, 式(J.9)のようには単位ベクトルではないことには 注意する。