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F.3 亀裂先端の塑性変形について

弾性亀裂では亀裂先端の応力は無限大になることから, 実際の材料中の挙動をそのままはモデル化できていないことは明らかである。 そのため,先端に拡がるであろう塑性変形を何等かのモデルで 考慮しないと,実際の破壊強度を精度良く求めることはできない。 昨今はすぐに数値解析に逃げる(著者らも含めて)が, これを力学モデルで表すことは大事である。 というのも,弾性亀裂で得られたような,例えば亀裂長さの平方根が 重要なパラメータであるといったことを数値解析で求めるのは困難だからだ。 解析的方法はやはり重要である。 さて,亀裂先端の塑性変形に関するモデルにはDugdale-Barenblattモデル といったものがある。二つには若干の違いがあるが, 亀裂先端の塑性域を考慮するために,興味深い力学的考察に基づいて 作られたモデルである。 読者は是非,これは勉強して欲しい。 例えばコンクリートに存在する亀裂先端を想像してみて欲しい。 そこには,数学的亀裂のような尖った先端があるとは思わないだろう。 亀裂と思しき存在の先端付近には,モルタルがボロボロになりかけて 内部に小さい空隙や微視的な亀裂が無数に分布し, 材料はもはや連続体ではなくなる寸前といった状況だと想像できないだろうか。 そういう亀裂先端部分を破壊進行領域 と呼ぶが,そのような「特異性を有しない先端」を持つ亀裂モデルになっている。 どう? 興味持てた? 駄目でしょ?


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Iwakuma Tetsuo
Mon, 18 Feb 2013 12:50:55 +0900 : Stardate [-28]8120.80