LATEXとHTMLによる論文・報告作成の基礎

岩熊哲夫

2000年7月2日 ([-30]5051.49)


目次




もともとのLATEXソースと, pdfファイル

1 文書の記述法

1 表現と中身

2 論文・報告

最も重要なのは「文書構成」「内容の論理」であって, レイアウトはたいていは定型である. ウェブ上のページであっても,何か伝えたい・提供したいというので あれば,内容の論理を重視した構成になっている必要がある. すべてがポスター様であれば,独り善がりになり易い.

3 記述言語

(a)
ワープロ:WYSIWYG (What you see is what you get.)方式の 文書整形ソフト.保存ファイル中はマークアップ方式情報. 利用者が組版の知識を有していないと駄目な出力になる.
(b)
お絵描き:単なる整形;ポスター作成.論理より直感(視覚).
(c)
Hyper Text Markup Language: SGML (Standard Generalized Markup Language) と同様,マークアップ言語.HTMLは ネットワークでの使用が前提のようだが,論理的記述もできる.
(d)
TEX: 組版ソフト;テキスト整形のみではない. 内容の論理構成に従って記述する言語.LATEXは定型文書用. ワープロと違ってレイアウト等の余計な事を考える必要が全く無いので, 文書の論理構成だけに精神を集中できる. そういう意味で論理的記述に向いている. 現在のバージョンは3.14159で,完成したら$\pi$になる. フォントを作るソフトのMetafontは2.7182で,こちらも 完成したら$e$になる.
(e)
プリンタ記述言語:PostScriptやLIPSで通常は ページ記述言語と呼ばれ,出力の頁毎のレイアウトのみを記述する. プリンタ制御用の言語.

4 文章の記述法

細かい点も含めて義務教育の「国語」では習っていない ものと考え,独学する必要がある.最も分かりやすい 文献(教科書)は,『日本語の作文技術(本多勝一著:朝日 新聞社刊朝日文庫)』の特にp.28以降を勉強するとよい. さらに,多くの良い本(小説は駄目)を読むこと.

5 よくある間違い等

私が気になる所を列挙しておく.

2 LATEXとHTMLの基本的な設定部分

1 基本的な書き出しと最終行

書き出しには次のような「おまじない」が必要.


\begin{boxedminipage}[t]{.48\textwidth}
\begin{english}
\begin{verbatim}\docu...
...ヌユ}
\begin{document}\end{verbatim}\par\mbox{}
\end{english}\end{boxedminipage}

\begin{boxedminipage}[t]{.48\textwidth}
\begin{english}
\begin{verbatim}<html...
...itle>
</head>
<body>\end{verbatim}\par\mbox{}
\end{english}\end{boxedminipage}


となる.これで文書本体の書き出しにつながる.HTMLの 場合もタイトルを略すのはよくない.LATEXの場合に 基本的なスタイルとして論文スタイルjarticleを 用いている.他に報告・本スタイルjreport, jbookがある. この\begin{document}の前の部分をプリアンブルと呼ぶが, ここはオプションとして利用するスタイルファイル等の指定にも用いる. 例えばこの文章のようにboxedminipageという特殊な 環境を用いる場合や,PostScriptの図を読み込むためなどに

     \usepackage{boxedminipage}
     \usepackage[varg]{txfonts}
     \usepackage[dvips]{graphicx}
のような行を並べる.具体的な指定の仕方は,それぞれのスタイルファイルの ドキュメントを読むこと.

全部の文章が終わった最後の最後には


\begin{boxedminipage}[t]{.48\textwidth}
\begin{english}
\begin{verbatim}\end{document}\end{verbatim}\par\mbox{}
\end{english}\end{boxedminipage}

\begin{boxedminipage}[t]{.48\textwidth}
\begin{english}
\begin{verbatim}<addr...
...ess>
</body>
</html>\end{verbatim}\par\mbox{}
\end{english}\end{boxedminipage}


となる.HTMLの場合には,署名と 作成日を明確にしておくことが望ましい.

以上で明らかなように,LATEXでは \beginで始まった 環境は \endで終わり,HTMLでは原則として <tag>で 始まったものが </tag>で終わっている. この組み合わせが順番通り並んでいないと,期待した 出力は得られないので注意する.

2 文書の表示・印刷

LATEX:
組版ソフトTEXでコンパイルして できるDVIファイルを,いわゆるdviwareで表示・印刷する. ちなみにDVIとはdevice independentという意味で一種の ページ記述言語(バイナリ)である.TEXそのものは どんなプラットフォーム上でもソフトが 存在するportableなもので,dviwareも 各種・各プラットフォーム上で整備されている. またPostScriptにも変換できる.DVIファイルは ページ記述言語であるから,どこで出力しても同じ出力になる.
HTML:
ブラウザで表示・印刷する.出力結果は ブラウザの設定等で統一されないことが前提であることに注意する. そういった意味でも,HTMLは論理記述のための言語と 考えておいた方がいい(画像を多用しない限り).
ワープロ:
ワープロは画面で見たままのが出力される(WYSIWYG: What you see is what you get.)から, 組版の規則をある程度知っていないと醜い出力になってしまう. またソースファイルを別の環境で読み込んだ場合,フォント設定等の 関係で,必ずしも同じ出力が得られるとは限らないこともあるので注意. 日本語対応のワープロで作成した英文文書ファイルが, 外国では表示すらできない場合もあるらしい.

3 本文本体の記述法

1 論理的な文章

論文・報告というのは論理的な文章であればよく,明確に 記述され誤解が生じない限り,美的である必要もないし,感情に 訴えるものである必要もない.

文節:
ひとつの句点を持つ文章基本単位で,ひとつの事柄を, 複数の読点で論理を明確にして記述する構造. ひとつのことを述べる毎に文節を改めるのが誤解を生まないが, 説得力やインパクトのために工夫する必要もある.
段落:
複数の文節ででき,あるひとつの論理を示す最小単位. ひとつの段落ではひとつの事だけについて書く.
節:
複数の段落を論理的に並べ,ある論理的帰結なり まとまった考えを主張する構造. その節が何のためにあるのかが明確になるようにする.
文書:
複数の節が論理的に並べられ,ひとつ以上の 最終的な結論・主張を示すもの.
と考えるとよい.

特に論文・報告のように科学的・工学的主張を述べる文書の 場合,「起承転結」等の構成をうまく考え,節毎にひとつの 閉じた論理を構成させ,節の並べ方と内容によって,ひとつの 文書で閉じた論理を構成するようにする.

2 文書の題目周辺

まずは題目部分になるが


\begin{boxedminipage}[t]{.48\textwidth}
\begin{english}
\begin{verbatim}\maketitle
[空行]\end{verbatim}\par\mbox{}
\end{english}\end{boxedminipage}

\begin{boxedminipage}[t]{.48\textwidth}
\begin{english}
\begin{verbatim}<h1>・...
...いつの記述</strong><p>\end{verbatim}\par\mbox{}
\end{english}\end{boxedminipage}


となる.HTMLの場合のは例えばの話であるが, 上の「おまじない」の <title>部分は,本文中では 反映されないので,このようにヘッダタグで再度 記述する必要がある.

3 節建て

ここから本文が始まるが,節建てをして始める


\begin{boxedminipage}[t]{.48\textwidth}
\begin{english}
\begin{verbatim}\sect...
...空行]
ところで・・・\end{verbatim}\par\mbox{}
\end{english}\end{boxedminipage}

\begin{boxedminipage}[t]{.48\textwidth}
\begin{english}
\begin{verbatim}<h2>ツ...
...</h3>
ところで・・・\end{verbatim}\par\mbox{}
\end{english}\end{boxedminipage}


となる.HTMLの場合,ここではページの題目に ヘッダタグの <h1>を使っているため,節に <h2>を 用いている.

節は次のようにして順番を付ける.


\begin{boxedminipage}[t]{.48\textwidth}
\begin{english}
\begin{verbatim}\sect...
...subsection{項タイトル}\end{verbatim}\par\mbox{}
\end{english}\end{boxedminipage}

\begin{boxedminipage}[t]{.48\textwidth}
\begin{english}
\begin{verbatim}<h2>タ...
...>
<h4>項タイトル</h4>\end{verbatim}\par\mbox{}
\end{english}\end{boxedminipage}


LATEXでは自動的に節番号が振られる.この例のHTMLの 場合では前述のように,ページの タイトルに <h1>を使ってあるので, このように <h2>から下を用いてある.

また,LATEXの報告・本スタイルjreport, jbookの 場合には,節の上に『章 \chapter{...}』が使え, さらにその上に『部 \part{...}』が使える.

4 段落

段落は次のような文節のまとまりとする.


\begin{boxedminipage}[t]{.48\textwidth}
\begin{english}
\begin{verbatim}[空ケ...
...ろで,・・・
[空行]\end{verbatim}\par\mbox{}
\end{english}\end{boxedminipage}

\begin{boxedminipage}[t]{.48\textwidth}
\begin{english}
\begin{verbatim}<p>
...
...ところで,・・・
</p>\end{verbatim}\par\mbox{}
\end{english}\end{boxedminipage}


ただしHTMLの </p>は省略できる.

LATEXの場合は,段落の開始・終了の前後に空行を入れて おくのが分かりやすく,特に最初の空行は,段落始めの インデント(字下げ)を自動的に挿入してくれる. このように,段落始めに自動的に字下げが入ることで 段落を明示している.

これに対しHTMLの場合は,段落間に1行 間隔程度の空行が入るだけで,字下げは自動化されない. HTMLの場合に字下げが必要な場合は,段落の最初に 全角のスペースを入れておく必要がある.そうであっても, 読む側のブラウザのフォント設定で, 例えば「MS明朝P(プロポーショナル)」等と いった『日本文化を滅ぼすフォント指定』がされていた 場合に,1文字分の字下げにならない.英語の段落始めの ように,数文字分の字下げにするには,例えば


\begin{boxedminipage}[t]{.48\textwidth}
\begin{english}
\begin{verbatim}さて,・・・となる.\end{verbatim}\par\mbox{}
\end{english}\end{boxedminipage}

\begin{boxedminipage}[t]{.48\textwidth}
\begin{english}
\begin{verbatim}さて。...
...・・
・・・・となる.\end{verbatim}\par\mbox{}
\end{english}\end{boxedminipage}


のようにすると良いかもしれない.

5 表題付きのパラグラフ

LATEXの場合は, \paragraph{...}\subparagraph{...}で 段落に題目を付けることもできる.

HTMLの場合には,文章の表現にも少し工夫をして,例えば


\begin{boxedminipage}[t]{.48\textwidth}
\begin{english}
\begin{verbatim}<b>見...
...b><br>
ところで・・・\end{verbatim}\par\mbox{}
\end{english}\end{boxedminipage}

\begin{boxedminipage}[t]{.48\textwidth}
\begin{quote}
\begin{english}
{\bf 見出、...
...个キ}
\par ところで・・・
\end{english}\end{quote}\par\mbox{}
\end{boxedminipage}


とするのも効果的である. 見出しは <big>...</big>も考えらる. また <h5>, <h6>も使えるが,ブラウザによっては 多少小さめ過ぎる場合がある.

6 引用

何か他の人の文章等を引用する場合には


\begin{boxedminipage}[t]{.48\textwidth}
\begin{english}
\begin{verbatim}\begi...
...ote}
...
\end{quote}\end{verbatim}\par\mbox{}
\end{english}\end{boxedminipage}

\begin{boxedminipage}[t]{.48\textwidth}
\begin{english}
\begin{verbatim}<bloc...
...e>
...
</blockquote>\end{verbatim}\par\mbox{}
\end{english}\end{boxedminipage}


となる.LATEXではquotation環境も ある.ただしHTMLの場合には, これも文章表現のレイアウトに使うことで, 見出しを効果的にすることもできる.例えば


\begin{boxedminipage}[t]{.48\textwidth}
\begin{english}
\begin{verbatim}<b>見...
...遏ΑΑヲ
</blockquote>\end{verbatim}\par\mbox{}
\end{english}\end{boxedminipage}

\begin{boxedminipage}[t]{.48\textwidth}
\begin{quote}
\begin{english}
{\bf 見出、...
...蠅涼瞥遏ΑΑヲ
\end{quote}\end{english}\end{quote}\par\mbox{}
\end{boxedminipage}


のようなこともできる.

7 脚注

LATEXの場合は \footnote{...}を用いて 脚注を入れることは可能であるが,論文・報告では 原則として用いない方がよい.HTMLには 脚注そのものは無い.


8 相互参照

「相互参照」はLATEXの場合の呼び名であり, それに相当するHTMLタグとして「アンカー・タグ」を 説明する.

1 LATEXの相互参照

例えば節番号を文中で引用することがある.また 式を引用することがある.そういった場合には

ことにしておいて,2回コンパイルをすればきちんと相互参照が できる.例えば


\begin{boxedminipage}[t]{.48\textwidth}
\begin{english}
\begin{verbatim}第\re...
...f{eq:example})において\end{verbatim}\par\mbox{}
\end{english}\end{boxedminipage}

\begin{boxedminipage}
% latex2html id marker 252
[t]{.48\textwidth}
\begin{engli...
...}という式(\ref{eq:example})において
\par\mbox{}
\end{english}\end{boxedminipage}


という風になる.

2 HTMLのアンカー

HTMLの場合の相互参照は,引用される側もする側も アンカー・タグを付す.例えば


\begin{boxedminipage}[t]{.98\textwidth}
\begin{english}
\begin{verbatim}例え、...
...</a>という
引用をする\end{verbatim}\par\mbox{}
\end{english}\end{boxedminipage}
 


のようにする.これでhrefした部分を ブラウザ上でクリックすれば,上のnameを定義した部分に ジャンプすることになる.

もちろんHTMLで最もよく用いられるのは,他の リソースへのアンカーである.例えば


\begin{boxedminipage}[t]{.98\textwidth}
\begin{english}
\mbox{}
\par\begin{verba...
...このページでは</a>・・\end{verbatim}\par\mbox{}
\end{english}\end{boxedminipage}
 


という風に使うと,他のリソースとのリンクができる. またページ最後の <address>部分の 自分のメイルIDの部分も


\begin{boxedminipage}[t]{.98\textwidth}
\begin{english}
\mbox{}
\par\begin{verba...
...@hoge.tohoku.ac.jp</a>\end{verbatim}\par\mbox{}
\end{english}\end{boxedminipage}
 


としておくこともできる.

もし他のリソースのページ途中のある指定箇所とリンクするなら


\begin{boxedminipage}[t]{.98\textwidth}
\begin{english}
\mbox{}
\par\begin{verba...
...のどこそこでは</a>・・\end{verbatim}\par\mbox{}
\end{english}\end{boxedminipage}
 


のようにする.

9 箇条書き

単純な箇条書き,すなわち

の場合には


\begin{boxedminipage}[t]{.48\textwidth}
\begin{english}
\begin{verbatim}\begi...
...覆蠅泙ケ
\end{itemize}\end{verbatim}\par\mbox{}
\end{english}\end{boxedminipage}

\begin{boxedminipage}[t]{.48\textwidth}
\begin{english}
\begin{verbatim}<ul>
...
...硫嫋鬚砲覆蠅泙ケ
</ul>\end{verbatim}\par\mbox{}
\end{english}\end{boxedminipage}


となる.記号は変えられる.

順番の数字付きの箇条書き,すなわち

  1. 一つ目の箇条書きの行
  2. これが二つ目
  3. 最後の箇条になります
の場合には


\begin{boxedminipage}[t]{.48\textwidth}
\begin{english}
\begin{verbatim}\begi...
...蠅泙ケ
\end{enumerate}\end{verbatim}\par\mbox{}
\end{english}\end{boxedminipage}

\begin{boxedminipage}[t]{.48\textwidth}
\begin{english}
\begin{verbatim}<ol>
...
...硫嫋鬚砲覆蠅泙ケ
</ol>\end{verbatim}\par\mbox{}
\end{english}\end{boxedminipage}


となる.開始番号や表示は変えられる.LATEXの場合には, 箇条の数字(上例の二つ目の箇条の\label)が相互参照の対象になる.

見出し付きの箇条書き,すなわち

あれ:
一つ目の箇条書きの行
これ:
これが二つ目
それ:
最後の箇条になります
の場合には


\begin{boxedminipage}[t]{.48\textwidth}
\begin{english}
\begin{verbatim}\begi...
...泙ケ
\end{description}\end{verbatim}\par\mbox{}
\end{english}\end{boxedminipage}

\begin{boxedminipage}[t]{.48\textwidth}
\begin{english}
\begin{verbatim}<dl>
...
...硫嫋鬚砲覆蠅泙ケ
</dl>\end{verbatim}\par\mbox{}
\end{english}\end{boxedminipage}


となる.HTMLの場合は見出しと箇条の間は改行されて しまうが,見出しにするものが2文字程度以下の 場合は, <dl compact>を用いると改行されない.

4 レイアウトや文字飾り

レイアウトや文字飾りは,特に論文や報告では可能な限り使わない. 論文や報告は内容を論理的に記述して伝えるためのものであり, 見た目で情報を伝えるものではない.

1 位置決め

センタリングの場合には


\begin{boxedminipage}[t]{.48\textwidth}
\begin{english}
\begin{verbatim}\begi...
...
次の行
\end{center}\end{verbatim}\par\mbox{}
\end{english}\end{boxedminipage}

\begin{boxedminipage}[t]{.48\textwidth}
\begin{english}
\begin{verbatim}<cent...
...br>
次の行
</center>\end{verbatim}\par\mbox{}
\end{english}\end{boxedminipage}


となる.

左右合わせの場合には


\begin{boxedminipage}[t]{.48\textwidth}
\begin{english}
\begin{verbatim}\begi...
...,旅ヤ
\end{flushleft}\end{verbatim}\par\mbox{}
\end{english}\end{boxedminipage}

\begin{boxedminipage}[t]{.48\textwidth}
\begin{english}
\begin{verbatim}<p al...
...の行<br>
次の行
</p>\end{verbatim}\par\mbox{}
\end{english}\end{boxedminipage}


となる.右合わせの場合には 上記のleftrightになる. このHTMLの場合の </p>は省略できない.

改行を入れた文をそのままのイメージで出力する場合には


\begin{boxedminipage}[t]{.48\textwidth}
\begin{english}
\begin{quote}
\verb*+\b...
...
\verb*+\end{verbatim}+
\end{quote}\par\mbox{}
\end{english}\end{boxedminipage}

\begin{boxedminipage}[t]{.48\textwidth}
\begin{english}
\begin{verbatim}<pre>...
...く(タグ有効)
</pre>\end{verbatim}\par\mbox{}
\end{english}\end{boxedminipage}


となる.

2 コメント

表示されないコメントをソースファイルに入れておくことが できる.


\begin{boxedminipage}[t]{.48\textwidth}
\begin{english}
\begin{verbatim}% %マークで始まる行
\end{verbatim}\par\mbox{}
\end{english}\end{boxedminipage}

\begin{boxedminipage}[t]{.48\textwidth}
\begin{english}
\begin{verbatim}<!-- ...
...号から右の記号まで -->\end{verbatim}\par\mbox{}
\end{english}\end{boxedminipage}


という行がコンパイルされない,あるいは表示されない コメント行になる. ただし,これを多用すると,見通しの悪いソースになる. 可能な限りコンパクトに,かつ,必要な部分にのみ用いる.

3 文字飾り(強調のため)

通常,2種類のフォントで十分である.それ以上必要なら, 論理的に異様なことをしていると考えよう. また重複した飾り,例えばゴチックで斜体とか, 下線付きのイタリック等も節操が無いのでやめる. ポスターではなく,論文・報告を作成していることを忘れない.

イタリックの場合には


\begin{boxedminipage}[t]{.48\textwidth}
\begin{english}
\begin{verbatim}{\em ...}
{\it ...}\end{verbatim}\par\mbox{}
\end{english}\end{boxedminipage}

\begin{boxedminipage}[t]{.48\textwidth}
\begin{english}
\begin{verbatim}<em>...</em>
<i>....</i>\end{verbatim}\par\mbox{}
\end{english}\end{boxedminipage}


となる.`em'の方は「強調」という意味で,論理的な 制御と呼ばれる.HTMLの場合もこちらが好ましい.

ゴチックの場合には


\begin{boxedminipage}[t]{.48\textwidth}
\begin{english}
\begin{verbatim}{\bf ...}\end{verbatim}\par\mbox{}
\end{english}\end{boxedminipage}

\begin{boxedminipage}[t]{.48\textwidth}
\begin{english}
\begin{verbatim}<stro...
...ong>
<b>.........</b>\end{verbatim}\par\mbox{}
\end{english}\end{boxedminipage}


となる. <strong>が論理的.

下線を引くの場合には


\begin{boxedminipage}[t]{.48\textwidth}
\begin{english}
\begin{verbatim}\underline{....}\end{verbatim}\par\mbox{}
\end{english}\end{boxedminipage}

\begin{boxedminipage}[t]{.48\textwidth}
\begin{english}
\begin{verbatim}<u>....</u>\end{verbatim}\par\mbox{}
\end{english}\end{boxedminipage}


となる.LATEXの場合,2行以上にわたる下線は 普通はできない.

等間隔文字(タイプライター様の)を用いる場合には


\begin{boxedminipage}[t]{.48\textwidth}
\begin{english}
\begin{verbatim}{\tt ...}\end{verbatim}\par\mbox{}
\end{english}\end{boxedminipage}

\begin{boxedminipage}[t]{.48\textwidth}
\begin{english}
\begin{verbatim}<tt>....</tt>\end{verbatim}\par\mbox{}
\end{english}\end{boxedminipage}


となる.

4 文字サイズ

論文・報告で文字サイズをどうこうする必要は滅多に無い. ただHTMLの場合は,メリハリを付けるのに多少の工夫は必要だろう. 基本的には


\begin{boxedminipage}[t]{.98\textwidth}
\begin{english}
\mbox{}
\par\begin{verba...
...や <small>....</small>\end{verbatim}\par\mbox{}
\end{english}\end{boxedminipage}
 


で十分であり, <font size=.....>等を多用するのは, ポスター様のページ以外のページでは好ましくない.

5 水平区分け線

段落を強調する意味で用いることができそうだ.


\begin{boxedminipage}[t]{.48\textwidth}
\begin{english}
\begin{verbatim}前段ヘ...
...rule
\medskip
次段落\end{verbatim}\par\mbox{}
\end{english}\end{boxedminipage}

\begin{boxedminipage}[t]{.48\textwidth}
\begin{english}
\begin{verbatim}前段ヘ...
.../p>
<hr>
<p>
次段落\end{verbatim}\par\mbox{}
\end{english}\end{boxedminipage}


のようにする.

5 数式

LATEXでの数式表現については別途参考書を読むこと.HTMLでは まだ満足なものができないが,LATEXで書いたソースをHTML化する ある種の変換ソフトでは,式の部分だけをGIF画像にして 貼り込んでいる.HTMLで簡単に胡麻化すには <pre>を使う.

LATEXでの基本的な部分を列挙しておく.

式番号付き:
基本的なもので,一行の式は


\begin{boxedminipage}[c]{.48\textwidth}
\begin{english}
\begin{verbatim}\begi...
...q:eq1}
\end{equation}\end{verbatim}\par\mbox{}
\end{english}\end{boxedminipage}

\begin{boxedminipage}[c]{.48\textwidth}
\begin{english}
\begin{equation}
f(x)=\sin x
\end{equation}\end{english}\end{boxedminipage}


という風になる.複数行になる場合には


\begin{boxedminipage}[c]{.48\textwidth}
\begin{english}
\begin{verbatim}\begi...
...:eqn2}
\end{eqnarray}\end{verbatim}\par\mbox{}
\end{english}\end{boxedminipage}

\begin{boxedminipage}[c]{.48\textwidth}
\begin{english}
\begin{eqnarray}
f(x) &...
...& \int_0^\infty h(x) \,\mbox{d} x
\end{eqnarray}\end{english}\end{boxedminipage}


という風になる.ちょっと気にして欲しいのは, 積分変数前の微分`d'が,数学斜体の`$d$'ではないことである. つまり,変数としての`$d$'と区別するために, 積分変数前の微分記号は\,\mbox{d}を用いてある. ここの\,は小さいスペーシングである.

式番号無し:
番号が要らない場合にはそれぞれ,displaymath, eqnarray*環境で式を書けばよい.
複数行の場合の注意:
式が複数になった場合の二行目が「引き算」 記号で始まるような場合,\mbox{}を必ず入れるようにする. これは演算子であることを区別するためである.


\begin{boxedminipage}[c]{.48\textwidth}
\begin{english}
\begin{verbatim}\begi...
...} - cx
\end{eqnarray}\end{verbatim}\par\mbox{}
\end{english}\end{boxedminipage}

\begin{boxedminipage}[c]{.48\textwidth}
\begin{english}
\begin{eqnarray}
f(x) &...
... & & - bx^2 \\
& & \mbox{} - cx
\end{eqnarray}\end{english}\end{boxedminipage}


という風になる.3行目が正しい. マイナス記号前後のスペース幅を比較して欲しい.

本などの執筆で記号で式を参照したい:
本の執筆などで, 非常に多くの式を扱うために式番号がかなりの数に及ぶものの, ある節だけでしか必要の無い,しかし本文で引用したい式を表示したい 場合がある.そういう場合にはplain-TEXのコマンドを用い


\begin{boxedminipage}[c]{.48\textwidth}
\begin{english}
\begin{verbatim}$$
f...
... ax^3+b \eqno{(*)}
$$\end{verbatim}\par\mbox{}
\end{english}\end{boxedminipage}

\begin{boxedminipage}[c]{.48\textwidth}
\begin{english}
\begin{displaymath}
f(x) = ax^3+b \eqno{(*)}
\end{displaymath}\end{english}\end{boxedminipage}


とするとよい.

図: PostScriptの図の例
\includegraphics{ce.ps}

6 図表・写真

1 LATEXのフロート

LATEXの場合は,図表はfigure, table環境の 中に配置する.この2つの環境はフロート(浮き)という分類に なっており,ソースファイル中の位置とページのレイアウトの 状態とを勘案して,複数のページ内をあちこち「漂う箱」と 考えなければならない.つまり,どこに配置するかを 決めるのはTEXそのものであり,利用者は出力をプレビューしながら, 欲しい位置に来るように調整する必要がある.これは 大抵の出版物(辞典のようなものではなく)の場合,図表は上や下に まとめてあることを思い出せば納得がいくのではないだろうか. 面倒ではあるが,文章の読みやすさを損ねないための工夫と 考えて欲しい.

基本的には,段落と段落の間の空行の部分にこのフロートを置くことにし, それをプレビューしながら最初のフロートから順に,適切な場所に 出力されるように,ひとつひとつ配置していくしかない. 論文の版下提出のような場合には,偶数ページを左に置いた見開きページに 二ページ分が見渡せることを考え,その配置を工夫すると, 最終的な論文の読みやすさが向上し,読者の理解も得られ易くなるだろう. もしかしたら査読もいい結果になるかもしれない.呵呵.

また,キャプションのセンタリングをする人が多いが,不要である.


\begin{boxedminipage}[t]{.48\textwidth}
\begin{english}
\begin{verbatim}\begi...
...ig:hoge}
\end{figure}\end{verbatim}\par\mbox{}
\end{english}\end{boxedminipage}

\begin{boxedminipage}[t]{.48\textwidth}
\begin{english}
\begin{verbatim}\begi...
...nd{center} \end{table}\end{verbatim}\par\mbox{}
\end{english}\end{boxedminipage}


とするとよい.表のキャプションは表そのものの上に 位置する.キャプション中で参考文献を引用したい場合には 上記のように\protectを用いるとエラーが生じない.

2 HTMLの場合

図表や画像データは,そのファイルを文中に指定することで 貼り込む.例えば


\begin{boxedminipage}[t]{.98\textwidth}
\begin{english}
\mbox{}
\par\begin{verba...
...''./photos/hoge.gif''>\end{verbatim}\par\mbox{}
\end{english}\end{boxedminipage}
 


といったようなタグを使う.altは目の不自由な人等に とって重要なので省略しないようにする.

2枚以上の図や写真を隙間無く横に並べたい場合がある. そういう場合には


\begin{boxedminipage}[t]{.98\textwidth}
\begin{english}
\begin{verbatim}<img ...
...=''./rightphoto.gif''>\end{verbatim}\end{english}\par\mbox{}
\end{boxedminipage}
 


のようにするといい.

HTMLでもフロートのような利用法は可能である.せっかく 窓(複数)システムを使っているのに,わざわざフレームを使ったり, 何も工夫しないでリンクしたりするのはもったいない. 例えば


\begin{boxedminipage}[t]{.98\textwidth}
\begin{english}
\mbox{}
\par\begin{verba...
...gif''>この写真では</a>\end{verbatim}\par\mbox{}
\end{english}\end{boxedminipage}
 


とすると,photoswindowという名前付きの窓が開いて, そこに画像が出力される.もちろん直接画像ファイルではなく 他のHTMLファイルでもいい. 同様のことはJavaScriptを使っても可能である.

3 表そのもの

LATEXではtabular環境を使う.HTMLでは, 非常に面倒だが <table>の中に, <tr>, <th>, <td>等を使って書く.

HTMLの場合,止むを得ない場合を除いて,表でレイアウトしては いけない.目の不自由な人にとってメリットが無いからである.

7 参考文献リスト

LATEXでの参考文献リストの標準的な書き方を示すに留める.

     \begin{thebibliography}{99}
      \bibitem{hogehoge} Lastname, A. and Lastname, B.,
        \newblock \emph{J. Appl. Mech., JSCE,}
        \newblock Vol.4, pp.45-50, 2002.
      ......
     \end{thebibliography}
となる.上記`99'というのは,文献が10以上あることを示しているだけで, 文献リストの番号を表示するときの適正な幅をTEXに 教えているだけである.10未満の場合は,例えば{5}で よい.数値そのものには意味が無い.hogehogeはラベルで, 本文中の引用する箇所で\cite{hogehoge}とする.

8 目次

長い文章の場合は付けておいた方が便利である.LATEXでは


\begin{boxedminipage}[t]{.98\textwidth}
\begin{english}
\mbox{}
\par\begin{verbatim}\tableofcontents\end{verbatim}\par\mbox{}
\end{english}\end{boxedminipage}
 


を付けて2回コンパイルすれば終わりである.HTMLの場合は, アンカー・タグを利用して目次を作成するのが望ましい. 目次そのものは節・小節・項と深くなるにつれて,入れ子の 箇条書きを利用するのが一番簡単である.例を示しておく.


\begin{boxedminipage}[t]{.98\textwidth}
\begin{english}
\begin{verbatim}<big>...
...ここが最初の小節・・・\end{verbatim}\end{english}\par\mbox{}
\end{boxedminipage}
 

9 音について

HTMLの場合の効果音の付け方には工夫が必要である. 特にJavaを起動するような場合には,訪問者の負担になるので 止めた方がよい.音は利用者の選択で聴けるように, スタート・ボタン等を付けた方がよい. また,長い音楽を流し続けるのは,目の不自由な人が 利用している「ページ読みソフト」の出力判別の妨げになるので 避けるべきである.

10 JavaScriptについて

サンプル・ソース付きの便利なサイトをいくつか紹介しておく.

なお,中にはブラウザ依存のものもあるが, 可能な限りそういった方法は使わない方が良いのは当然である.



John Doe
Mon May 12 08:57:52 JST 2008