これは大学院修士課程の入学試験問題に手を加えたものである.3 年 前期の構造力学の講義で境界値問題の弱形式の説明をし, 弱形式を力学では歴史的に仮想仕事の原理と呼ぶこと, 弱形式から単位荷重の定理が導かれることなどを教えている. この問題は,これらのことが理解できるかを試している.
上図 (a) の等分布荷重を受ける片持ち梁(等断面)の右端における 鉛直方向変位 は次式で与えられる.
ここで, は図 (a) の梁における曲げモーメントの分布を 表し, は図 (b) の梁における 曲げモーメントの分布を表すものとする.
1. 図 (b) の梁の変位を とする. が 満たすべき支配方程式と境界条件を書け.
2. が 上の問題 1. の境界値問題の解である とき,, を満足する任意の関数 に 対して,次式が成り立つことを示せ.
任意の関数 を仮想変位とすれば, 式 (2.2) は図 (b) の問題に対する仮想仕事の式となっている. また, を図 (a) の梁のたわみとすれば, 式 (2.2) は図 (a) の問題に対する補仮想仕事の式を表している.
3. 式 (2.1) を導け.